過労死白書を読んでみた

厚生労働省が 過労死等防止対策白書 を発表したので、さらっと見てみました。その中から「ふーん」と思ったデータをいくつかご紹介。


まずは各国の年平均労働時間

これ見る限り、日本だけが超長時間労働って感じはしないよね。韓国はヒドいけど。
むしろフランスと特にドイツ、どんだけ短いんだって感じ。しかも経済は順調なわけで、その生産性の高さに驚きます。


アメリカや日本が本気でフランスやドイツみたいな労働時間にしたいなら、週当たりの労働時間の上限を法律で決め、夏休みは 3週間以上の強制取得にするとか、なんらか強制力が必要かな。


次はこちら。

青い折れ線が一般労働者の総労働時間、赤い折れ線はパートタイム労働者の総労働時間。どんどん増えてる緑の棒が、労働者の中に占めるパートタイム労働者の比率。
期間は 平成 5年= 1993 年から平成 27年= 2015 年までの 22 年間の推移です。


これを見る限り、一般労働者の労働時間(青の折れ線)は 何十年もまったく変わってない。 22年前が 2045時間、去年が 2026時間。このペースだと、あと 20年たっても 2000 時間を切らない。

もし日本人の労働時間に関して、右肩下がりのグラフがあったとしたら、それは「パートで働く人が増えたから」であって、フルタイムの人の労働時間が減ったからじゃないってことは覚えておきましょう。

たとえば最初に紹介した国際比較のグラフでも日本の総労働時間は長期的には減ってるように見えますが、これも「パートの人が増えたから」なだけです。

フルタイムで働く日本人はバブル期も今も、めっちゃ働いてる!


それにしても日本は過去 20年の間に、週末と祝日が重なると月曜を休みにしたり、新たな祝日を作ったりと、休みの日を強制的に増やしてきてる。

なのにここまで労働時間が減ってないのは、その分、残業や有休未消化が増えてるからでは?


ということで次は有給休暇。折れ線グラフが取得率で、棒グラフが有休の付与日数と取得日数。

なーんと、日本の有休取得率ってバブル直後の頃がピークで、それ以来どんどん下がってる!

ちょっとはマシになってるのかと思ったら、寧ろ悪くなってるんですね。


てか、バブルピークには低かった有休消化率がバブル崩壊直後に高くなり、その後ずっと下がってるのは、
・バブル期=忙しくて有休なんてとれない
・バブル崩壊直後=仕事が減ったので有休をとりやすくなった
・その後=人員自体が減らされたので、また有休なんてとれなくなった
ってこと?


ちなみに、正社員で 1日も有休を取らなかった人は 16%とのこと。

あと、有休は取得理由も重要。ドイツとか病欠は有休とは別にとってるけど、日本の場合、上記の「有休取得日 9日」の多くがインフルエンザとかなのでは?

中には忌引き絡みで有休を使ってる人もいるので、純粋に遊ぶ&休むために取得されてる有休は相当に少ないのかもしれない。


なお私も長く会社員やってましたが、有休取得率は 100%です。

新卒で就職して 7月にいきなり一年分の有休をまとめてとって旅行に行き、戻ってきたら先輩から「辞めたのかと思った」って言われましたよ。。。


こちらは年齢別の自殺統計で、勤務問題を原因・動機のひとつとする自殺者の数です。
一番下のピンクが 20代、薄緑が 30代、水色が 40代と 10歳刻み。
ここ何年か自殺者自体が減ってるので、仕事が理由で自殺した人の数も減ってます。これはいいこと。


仕事を苦にしての自殺と言っても中高年の場合は、中小・零細企業の経営者が「事業が回らなくなって借金苦で自殺」というケースも多いんだよね。でも、若い人の自殺は過労死や職場イジメが大半でしょう。

てかさー。

去年 1年で仕事絡みで自殺した 20代が 437人、30代が 518人もいるのよ。電通の女の子はその中のひとりに過ぎません。

毎日ひとり以上の 20代の子が仕事を原因として自殺してるなんて、ちょっと驚きすぎる。

20代と 30代を併せると毎日 3人が(仕事を理由として)自殺してる国ニッポン。。。


最後のデータは去年 1年に、精神障害で労災申請をした人の業種別ランキングなんですけど。。。これもびっくり。


だって一番多いのが社会保障、社会福祉、介護事業に携わってる人なんだよ。で二番目に多いのが、医療業・・・

なにそのマッチポンプ!?


3位の道路貨物運送業は精神障害だけでなく心疾患や脳疾患も多く、めっちゃ大変な仕事なのだけど、こんなの自動運転車が普及したらゼロにできるのでは?

てか、運送系の仕事の人が病気になると事故って巻き添えで殺されちゃう人も増えるので、ほんとーに早く自動運転プリーズって感じ。

そして 4番目が情報サービス業・・・・最後はノーコメントということで。



そんじゃーね


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