ここ最近のニュースで一番「ありゃりゃ感」が高かったのは、タクシー業界が規制緩和路線を変更するという話。東京では値上げの話まででている。本当にわけわかんないね、この業界。つーか、国交省。
ご存じタクシー業界は規制業種。地域ごとに台数が決まってて勝手に新規に商売を始められない。価格も台数も役所がコントロールしてる。これを数年前に“一部”緩和、自由化した。
ところが価格の過当競争が起こり、ドライバーは食べていけないわ、乗客も危ないわ(ドライバーが居眠りするとか?)で、このたび規制をまた厳しくしましょうと、やっぱ台数制限をやりましょうと、そういう話らしいです。
すごい不思議です。
なんでタクシー業界だけ、こーなるの?
普通は市場を自由化すれば、
(1)新サービスが現れてより便利になり、かつ、価格が下がる。
(2)一時的には悪徳業者が現れたり価格競争に陥るが、最終的にはそういう業者は排除され、頑張った業者が新しくのしあがってくる。
(3)ただし、過疎エリアでサービス提供自体がなくなったり制限される。
ということが起ります。
たとえば電電公社の頃は黒電話だけで、留守電機能のついた電話機さえないし、もちろん携帯も無かった。権利金みたいなものも必要だったし基本料金も高かった。電話の世界は、電電公社が民営化され、新規参入が行われて市場は大きく変わった。
飛行機や鉄道も全く同じ。JALが唯一の国際線だった頃は、マイレッジサービスもなかったし、ご飯もまずくてひどかった。JRが国鉄だった頃はスイカ(イコカ)もなければ駅中ストアもなかった。
今はすごい便利になったけど、過疎地域は切り捨てられた。客は安くてノーサービスの格安飛行機会社とANAやJALを選べるようになった。
普通はこういうことが起こるんです。これが「自由化すると起こるはずだったこと」なんです。
タクシー業界も同様に
(1)どんどん新サービスが現れて、価格がさがり、
(2)悪徳業者も現れるけど、時間がたてば淘汰され(監督機関によって閉鎖させられ)、
(3)ただし、過疎エリアではタクシーがいなくなっちゃう、と、
そんなことが起こるはずだった。
ところが、タクシー業界はそうならなかった。何が起こったか。
(1)新サービスはほとんど定着しなかった。一部地域で価格競争だけが起こった。
(2)業者の淘汰は全く行われない。なので価格競争が益々激しくなった。
(3)過疎エリアでは何も変わない。
これがタクシー業界で起こったことです。
なんでタクシー業界だけ、こんなに違う動きをするのでしょう?
特に「値上げ」って何さ?です。顧客ニーズが惹起できなくて、売上があがらないから値上げをする、というのは、完全にお役所の発想です。民間は客がこなければ値下げするんだよ。
そういえば昔は郵便も電話も国鉄も、みんな「赤字だから値上げする」「客が少ないから値上げする」と言っていた。これが官と民の最大の違いだよね。
「売上があがらないから値上げする」というタクシー業界。その事実が、この業界がどういう業界なのか、象徴的に表している。
というわけで、なんでタクシー業界はこうなのか、明日、まとめて書きます。
ではね。