タイミング

世の中はタイミングが大事だと思う。

巧くいくことも失敗することも“タイミング”の要素が大きい。時には一回タイミングを逃すと、次のチャンスが巡ってくるまで一世代必要だったりもする。

グーグルがYou Tubeを使って、広く政治家(候補者含む)への質問を募り、立候補予定者からの回答を動画で集める、という試みを発表したのを聞いて(内容はともかく)すばらしいタイミングだよね、と思った。

現在の公職選挙法では、選挙が公示されるとネット上の活動が大幅に規制されてしまう。

グーグルの試みも当然この制限を受ける。

ところが今回は麻生さんがものすごい変則的なスケジュールを選挙に持ち込んだ。

なんと解散すると明言してから実際の今日の解散までが 1週間もあり、その上、解散日から選挙公示までもにも 3週間以上(一ヶ月弱)の間があく。

つまり「選挙があるとわかってから、ネット上での選挙活動が制限されるまで」が1ヶ月以上にもなるわけ。

これはグーグルが行う新しい試みにたいして、現行法の下で許される範囲内では極めて有利な条件が与えられたことを意味します。

一ヶ月も実験が行えれば、将来の「ネットでの選挙活動解禁」に向けて、グーグルも有権者も多くの“学び”と“教訓”が得られる。

グーグルのスピードなら数回の試行錯誤まで回せるかもしれない。まさに「麻生様々」でしょ。

別にグーグルだけに限らない。

ネットが選挙に活用できれば、と思っていた候補者自身やなんらかの意見を世に問いたい各種の団体などにとっても、こんな機会はなかなかない。問題はグーグルのように機動的に動けるか、という点だけ。

“時機が勝負を決する”とよく言われる。

チャンスを見てすぐさま「今回これを試すべき」と発意、決断したのだとすれば、この「タイミングを逃さずすぐ動くことができる」機動性こそが、会社にしろ個人にしろその人の、最終的に成し遂げられること(成果)を規定する。

“ぼんくら”している人の中には、この1ヶ月という異例な時間の意味さえ未だに気がつかないまま、という人もいるのだから。

★★★

もうひとつ。天皇皇后両陛下がカナダを訪問された件。お二人ともご高齢で健康、体調が心配されていたが無事に行程を終えられた、というニュースを聞いていて思った。

「天皇終身制」を私たちはいつまで堅持するのか。伝統だから変えられないという人もいるのだろうが、昔とは人間そのものの寿命も違う。昭和天皇の晩年を覚えている人も多いだろう。

一人で歩くことも覚束ず、いつ倒れるかもしれないような状況になっても、衆人環視の中、様々なセレモニーにひっぱりまわして出席させるという過酷な仕事を、私たちはまた今の天皇と皇后にも求めているのか?

肩書きが大事だというなら、天皇という身分自体は終身制としても、「70歳公務引退制度」くらいは検討してもいいのではないか?

とは思う。

思うのだが、これを検討するには今はいかにも「タイミングが悪い」のだよね。

理由は多くの人に想像がつくはずだ。

皇后様はカナダの小児病院で子守歌を歌われた。

そこまでいかなくても簡単な挨拶でさえ、私たちは皇太子妃の肉声をいつから聞いていないだろう。

今のタイミングで、天皇の定年制や公務の引退制度などを話し合うことは、別の問題への意識を嫌でも高めてしまう。

だから、この問題は当面アンタッチャブルなまま放置される。そして、こういうことが話し合えるチャンスは「次の世代」までやってこない。


タイミングってのは大事なのだ。

決断すべき時を逃さないように。
「今かも?」と思うそのタイミングは、もう次の40年間やってこないかもしれない。
仕事においてもパーソナルライフにおいても。


そんじゃーね。