ビジネスホテルや古めの温泉旅館に泊まると、洗面所の壁にこういうドライヤーが付いてたりします。
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これ、ユニットバスだと同行者がシャワーを浴びている間はドライヤーが使えないし、パワーも弱いし、あまり好きではないのですが、なぜこれが広く普及してるかというと、
「安いから」ではなく、ドライヤーを客に持って帰られないため、つまり盗難防止なんですよね。
他にも、「市販のドライヤーなんだけど、コンセントにプラグを突き刺す部分だけは、壁の向こう側や引き出しの奥にあって触れない=壁や引き出しの奥からいきなりコードが出ている」、みたいなのもあります。
これだとパワーは(普通のドライヤーなので)十分ですが、やはり場所が動かせないのが不便。
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日本ではあまり見ませんが、海外の安ホテルではハンガーもこういうタイプだったり・・・。これも盗難防止策で、一番上の部分はポールにハメられているので外れません。
で、下の部分は丸いボールが先っぽについたハンガーで、ここだけ外しても何処にも掛けられないため、家に持って帰っても使えません。
これも不便なんだよねー。
ホテルでちょこっと洗ったタオルや下着を干したいのに、ハンガーをクロゼットから取り出すことができない・・・てか、取り出しても、椅子やベランダなど他の場所に吊せない。
こんなもんを持って帰る人(盗む人)がいるせいで、ほんと迷惑です。
あと、アメリカのホテルの部屋には(浴衣やパジャマの代わりに)バスローブが用意されてるんだけど、どこのホテルのバスローブも驚くほどカサ高で、かつ、肩が凝るくらい重い。
あれも「重すぎて持って帰ろうという気を失せさせる作戦」だそうで、盗難防止策のひとつです。そういえば、バスタオルも巨大で重いのばかりだよね。あれも同じ趣旨かな。
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そしてもうひとつ。このまえ訪れたスキー場併設の大規模な温泉旅館で見つけたのがコレ。
温泉の女性脱衣室に置いてある無料の化粧品セットなんですけど・・・何が盗難防止なのか、わかります?
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キャップの内側をご覧ください↓
溝がないでしょ。ボトル側には溝があるんですよ(後方にピンぼけで写ってますよね)ところがキャップ側には、対応する溝が付いてないんです。
このキャップだと、かぶせておくことはできるけど、回して閉めることができないため、旅行中の客が化粧品ボトルを盗んで帰ることができない!
うーむ!!
温泉旅館やスポーツジムのシャワー室に置いてある化粧品は、化粧品メーカーが宣伝用に新製品を提供してる場合もあり、けっこういいモノだったりするんですよね。
そういえば昔、都内のホテルのプールのシャワー室で、備え付けの化粧品を自分が持ってきた小分けの旅行容器に入れ替えてる人を見たことあるんですけど。
あのときは「旅行に化粧品を持ってくるのを忘れたのかな」と思っただけでしたが、もしかするとアレも、もしかしたんでしょうか・・・?
そして今や、ボトルごと盗んで持ち帰る人もいるわけです。だからこんな特殊なフタが、わざわざ作られてる。
それにしても・・・この対策は巧いというか、よく考えたよねと感心しました。簡単でコストがかからず、なおかつ効果的。
ドライヤーを壁にくっつけたり、摩訶不可思議なハンガーを作るよりよほど賢く、「工業デザイン大会 盗難防止デザイン部門」なんてのが(もし存在したら!)優秀賞をもらえそう。
コレ見て思いましたよ。
今後、ホテルの備品はどんどんこうなっていくのか(もしかしてお湯を沸かすポットとかも、壁にくっつき始めたりするのでしょうか?)、それとも、どんどんマトモになっていくのか。
楽しみというか、怖いというか。
ずっと昔アメリカに留学したとき、自転車を降りた学生がみんなサドルを外して持ち歩くのをみて驚愕した覚えがあります(サドル自体の盗難防止策であると同時に、サドルが無いと乗れないので、自転車本体の盗難防止にもなるとか)。
日本がそんな社会にならないことを、心から祈りつつ。
そんじゃーね。
<関連過去エントリ>
・ APA HOTEL 驚異のデフレ系オペレーション ←これもすごいよ
<追記>
飛行機のヘッドフォンも普通と違うジャックになってて盗めない。 RT @InsideCHIKIRIN: ★ブログ更新★ ホテルの備品をパチる人対策が凄くて感動した → http://t.co/uXWnWKCp3w"
— roidoh (@andhrid0) 2015, 2月 12
@InsideCHIKIRIN ボーリング場のレンタルシューズが有り得ない色の組み合わせでダサくしているのもパチり防止なのだそうです。
— とヤマ (@Kazuhiro_T_1970) 2015, 2月 12