言論の自由は今でも命がけ

先日のエントリ、「権力に対抗しうるメディア」実現の条件 とも絡みますが、

今でも、そして先進国でも「自分が気にくわない意見をもつ人」を暗殺する事件は定期的に起こっています。


さっきコチラの記事を読みました → バングラディッシュでブロガーが殺害される。今年4人目

人道主義サイトに過激派の批判を書いているブロガーが、次々と暗殺されてるという話。


私もブロガーなので「怖っ!」とは思いますが、とはいえこれだけだと「バングラディッシュは治安が悪い」とか「イスラム過激派は怖い」みたいな話で終わりになりそうでしょ。

けれど実は、同じようなテロが先進国を含め、あちこちで起こってるんですよね。


アメリカでも、 人工中絶を施術する医師が暗殺されるという事件がときどき起こります。

キリスト教のカソリックは、厳密に解釈すれば中絶も離婚も認めていないので、(極端な教義の場合、婚前交渉も避妊も認めてない?)、人工中絶手術をする医師は“神を冒涜してる”ということになるからです。

以前は中絶手術を行う全米の医師の顔写真や住所をサイト上で一覧表にし、殺害ターゲットとして公表している団体もありました。

しかも暗殺が行われると、そのサイトは即時に更新され、殺された医師名がリストから消えるという怖さ・・・


アメリカでは“白人至上主義”も未だ根強く、テロ的な組織をもつところも多数あるし、
→ 参考サイト)アメリカでくすぶる白人至上主義勢力の拡大


ロシアでは プーチン氏を批判した女性記者が暗殺されました。

この女性は有名なジャーナリストだったため、捜査も真剣に(?)行われ、犯人も逮捕されたけれど、ロシアでは他にも、政権批判をしていた多くのジャーナリストが謎の死を遂げています。


ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユサフザイさんも、母国パキスタンで「女性に教育なんて必要ない」と考える一派に襲われ、一時は命に関わる状態に追い込まれました。


「悪魔の詩」という反イスラム的とされる書物の著者や翻訳者が世界中で暗殺ターゲットになった事件では、筑波大学の校舎内で、日本語への翻訳を担当した五十嵐一助教授が殺害されるという驚くべき事件が起こったし、


左寄りの主張が多い朝日新聞も、継続的に右翼団体の標的となっており、実際に記者が射殺される事件も起きてます。


政治家の加藤紘一氏も、小泉元首相の靖国参拝を批判したところ、母親が住む地元の実家が放火されてしまいました。


1990年、「(昭和)天皇にも戦争責任はあると思う」と発言した長崎市長(当時)も銃撃されたし、

2007年には再度(もちろん別の)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B4%8E%E5%B8%82%E9%95%B7%E5%B0%84%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6:TITLE=長崎市長が銃撃され、命を落としています。


闇勢力との関係も指摘される様々な大阪の既得権益に切り込んできた橋下徹市長にも、本人や家族に対する殺害予告が何通も届いており、

本人だけでなく家族にも SP が付いて 24時間体制の警備が行われてきました。これも、そういった事件の発生が十分に想定されるからです。


そして新しいところでは、フランスの政治風刺新聞社、シャルリー・エブドが襲撃された事件も言論封殺テロです。


★★★


「暗殺なんて、発展途上国だけの話でしょ?」ではないし、「大昔の話でしょ?」「そんなことするの、イスラム過激派だけでしょ?」ではないんです。

世界でも日本でも、そして今でも言論には“タブー”があり、大々的にそれを犯すと命の危険がある。


先日のエントリでは、「ウィキリークスのように、技術によって個人の身元を完全に秘匿できる状態になるか、もしくは、不死身の人工知能ジャーナリストがでてこない限り、言論の自由なんて成立し得ない」って書いたけど、

もうひとつ方法があるとしたら、、

暗殺なんて考えた時点でその人の生活から挙動からメールから購買行動まで、すべてが監視下に置かれる、みたいな

(それはそれでメチャ怖い)完全監視社会が来ないと、言論の自由を確保するなんて無理なのかもと思った次第。



そんじゃーね


<関連エントリ>
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