買い物にもセカンドオピニオンが必要な時代

最近、お店での買い物について学んだことがあるので、それについて書いておきます。

何か特定のものを探して大きめのお店に行ったとき、ざっと店内を探しても目当てのものが見つからない時、店員さんに「◯◯を探してるんですけどありますか?」って聞いたりするでしょ。

そこで「どんなものですか?」と聞かれて説明し、最終的に「ないです」と言われても、すぐにはそれを信じないほうがいい、というのが、今日のアドバイスです。

今までなら店員さんの「ないです」をすぐ信じていた私ですが、最近はそう言われても念のため「もうひとり別の店員さん」を探して同じことを聞くようにしています。

なぜなら

そうしたら「実はあった」ということもよくある、と気づいたからです。

★★★

ひとつめの店はニトリ。

探していたものを「ないです」と言われたあと、他のものを探していたら、さっき「ないです」と言われた商品を見つけてしまいました。

次の店は、とあるDIY屋さん。

ある日、店員さんに「この板って切ってもらえますか?」と聞いたら、大丈夫と言われたので、家に戻って寸法をきちんと計り、後日そのお店を再訪しました。

その日は他の店員さんが売り場にいたので、「この板を30センチに切って欲しいんですけど」って頼んだら、「この木のカットは承っていません」との返事。

「えっ?」と思って、「先日、これもカットしてもらえると言われたんですけど」と他の店員さんがいる方向をチラ見したら、

その人は黙ってそちらに行き、確認後「カットできます」と。

これ、もし最初に聞いたのがこの店員さんで、その時に「できません」と言われていたら、私は素直に諦めていたでしょう。おそらくそういう目にあっている人もいるはず。

★★★

時計の電池替えに行ったときも「この時計は特殊なのでうちではできない」と言われたのですが、前に同じ店で電池交換できていたので、

「前回はできたんですけど。普通の日本メーカーの時計です」って言ったら黙ってやってくれ、ちゃんとできました。

海外ブランド品に似た時計だったので、チラ見の段階で「できない」と思い込んだのだと思います。

でも、この店員さんが初めてだったら(=前に同じ店で交換したことがなかったら)私は素直にそれを信じ、他の店に時計を持っていっていったはず。

と、ここのところ同じようなことが続き、「これまでには無かった現象だよね」と思ったので、その理由を(自分のアタマで)考えてみたんですが、たぶん、こういうことだと思います。


最近、人手不足で、店員さん含め、バイトの入れ替わりがすごく早くなってるんですよね。

以前だったら、バイトをしている人は「友達から旅行に誘われたけど、バイトやめると次に見つけるのが大変だから旅行はまた別の機会にしよう」とか

「試験の時期だけバイトをやめたいけど、そんなこと言ったらクビになるかも。しゃーないから試験の間もバイトを続ける」とか、

そういう考えの人が多く、「バイトなんだけどすごく長く働いていて、商品知識が蓄積されてる店員さん」がたくさんいたんでしょう。

それが今は超のつく人手不足時代なので、バイトを探すのはすごく簡単。

すると学生さんでも、「試験が近くなってきたからバイトやめるか。試験が終わったらまた新しいバイト探せばいいし」みたいに考えたりするわけです。

こうして「就活時期だからバイト中断」とか「子供がお受験だから、それが終わるまでパート中断」みたいに考える人が増え、

中断といっても前に働いていた店に戻るわけでもないので、どんどんバイトの連続勤務月数が短くなってるんじゃないかと。

実際、飲食店を経営してる友達からも「バイトがすぐ辞めるからオペレーションが大変すぎ」と頻繁に聞くようになりました。

結果、商品知識やサービス知識が乏しく、単に言われたこと、たとえば品出しだったりレジ打ちだったりをやるだけです、という、

「バイト本来の仕事」しか、しないバイト

という、ある意味、めっちゃ当たり前な状態になってきてるんです。

★★★

実はアメリカに住んでいた時は、ひとりの店員に「ないです」と言われても、私はそれをまったく信じていませんでした。

「配送できません」と言われたものが「配送可能」だったり、「黒しかない」と言われた商品に「白」もあったりとか、しょっちゅうあるわけで、

「こうは言われたけど、商品が手元に届くまではどうだかわからない」みたいなのは当たり前でした。

それが日本ではバイトやパートの人を含め店員さんのレベルがめっちゃ高いので、ついつい「ひとりの店員さんに「ない」と言われたら、素直にそれを信じる自分になっていたわけです。

でも、最近のいくつかの経験から、「日本の売り場もグローバルスタンダードになってきたので、消費者側にもグローバルスタンダードな買い物スキルが求められる時代になったんだな」と理解できました。

★★★

というわけで、最近は家電量販店だろうと雑貨屋だろうと、「できない」「置いてない」と言われても、「かならず別の店員にもう一度きいてみる」ようになりました。

なお、「無いものをあるという店員」はいません。「ある」と言えば、「ある場所」を教えないといけないわけで、そんなこと、わからないまま言うことはできません。

でも、「あるかもしれない」時に「ない」と答えるのは「あるかもしれない」と正直にいうより圧倒的に簡単です。

なぜなら「ない」と伝えた時点で会話が終わるから。


「ない」とか「できません」と答えれば、バイトの人はすぐ他の仕事に戻ることができます。

「あるかもしれない」商品をお客さんと一緒に探すなんてことに時間を使えるほど、バイトの人も余裕がないんだよね。

これも人手不足のなせるわざで、どこの店もギリギリの人員でオペレーションを回してるので、「絶対にある。あそこにある」とわかっている商品以外について聞かれたら、

「申し訳ありません。置いてないんです」っていっちゃったほうが楽なわけです。

前にファミレスの例で書いたけど、バイトの人って店の売り上げが上がろうと下がろうと、自分の時給にはなんの影響もないわけだから。


誤解のないように。私はバイトの人を責めているわけでも、その仕事の質を嘆いているわけでもありません。

そもそもバイトの仕事とは、そういうもの(そういうレベルの仕事)なんです。

彼らに与えられたインセンティブシステムからすれば、そういう行動こそ「あたりまえ」なわけで、重要なのは、消費者側が彼らの行動原理を理解することのほうです。

そうしないと「欲しいものがなかなか見つけられない消費者」になっちゃうからね。

★★★

個人的には「渋谷の東急ハンズのDIY売り場」だけは例外で、ここで「ない」と言われた時は、一人目の言葉で信じることにしています。

でも、渋谷以外の東急ハンズでは必ず他の店員さんからセカンドオピニオンを取るし、渋谷の東急ハンズでも、DIY部材以外の売り場では「一応、念のため、もうひとりに聞く」ようにしてます。


あと、あるスポーツブランド店にスニーカーを買いに行ったとき、事前にブランドのオンラインサイトで「自分の買いたいスニーカーの、自分のサイズの在庫がどの店舗にあるか」を確認してから行ったんです。

ところが現地で店員さんに「このスニーカーの23センチを」と依頼したら「あー、これ、メンズオンリーなので女性用サイズ、ないんですよ。25センチからだったんじゃないかなー」とのこと。

「でたよ!」

と心では思いつつ、にこやかに「えー、そうなんですか。ショックー。でも念のため、その端末で店内在庫、みてもらってもいいですか?」と、店員さんが持ってるタブレットを指差してみると、

「はいはい」と言って調べてくれ、「あれ! この靴、レディースサイズもありますね! ちょっと在庫、みてきます!」となり・・・無事に欲しい靴を買うことができました。

なおここで「オンラインサイトでこの店に在庫があるって確認済みなんで、取ってきてください」とか冷たく言うと、相手のプライドを傷つけてしまうので気をつけましょう。

気のいい店員さんは「お客さん、ラッキーですねー!」とか言ってましたが、別に私はラッキーなのではなく、事前にちゃんと調べてきてるだけ。

なんてことも、絶対に口にださないように。


最近はこうして店舗在庫をオンラインで確認できるアパレルやブランドショップも増えているので、いきなり行って店員に聞くより、最初に自分で調べていくほうが確実です。

もしそうしていなかったら、店頭で「このスニーカーはメンズサイズだけ」と言われた時点で、私はそれを買うことを諦めてしまっていたでしょう。


というわけで、スーパーだろうと家電量販店だろうとアパレルショップだろうと、ひとり目の店員さんに「置いてないです」「配送不可です」「この商品はサービス対象外です」とか言われても、

念のためもういちど他の店員さんに聞いてみることを強くお勧めする次第です。

令和になって、日本も「そういう国」になってきたのだから。



そんじゃーね


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