公務員の仕事

ブログを長く読んでいただいている方は、ちきりんが、社会主義的な体制に批判的であること、公務員の仕事に批判的であることにお気づきかと思います。

それはそうなんですが、でも、ちきりんは、パブリックな仕事に価値がないとは思っていません。公的部門には、民間にできない、極めて重要な仕事がたくさんあります。

問題は、世の中が変っても、公的部門の仕事が全く変っていないことです。高度成長の頃、先進国になるために必死だった頃に設定された目標とそのための仕事を粛々とこなす部門になってしまっている。それが問題なだけで、存在意義はむしろ大きくなるはずなのです。

★★★

超独断によって、ちきりんが、公務員がやるべきと考えている仕事や組織のあり方を書いてみます。


<農水省>
やらなくていいこと
・競争力のない農家の保護

やってほしいこと
・食の安全に関するシステムを構築
・農産物ポリス(生産地詐称や賞味期限ごまかしなどの摘発)
・農産物の国際競争力を高めるための基礎研究とブランディングなどのマーケティング企画と教育(民間企業とのコラボレーション)


<国土交通省>
やらなくていいこと
・不要な開発(ダム、田舎の高速道路、神戸空港、諫早湾の干拓事業などなど)
・天下りOBによる談合指南

やってほしいこと
・住宅品質保証制度の確立(欠陥住宅問題、中古市場の整備など)
・成田以外の首都圏空港の国際化、整備による24時間化
・マンション立て替え、都市整備のグランドデザインと法的整備
・運輸系の安全確保と監視の仕組み強化(最近のJAL問題とかね)
・港湾系の施設、機能の近代化と国際競争力の強化


<郵政省>
やらなくていいこと
・郵政民営化への抵抗
・クロネコヤマトいじめ
・デジタル地上波テレビのむりやりな推進

やってほしいこと
・ITリタラシー教育(学校だけでなく、社会に向けて)
・ITセキュリティの強化(国レベルで)
・IT産業の国際競争力を高めるための産業政策


<文部省*1
やらなくていいこと
・ゆとり教育。その揺り戻しとしての学歴偏重教育
・日教組対策
・とんでもない問題教師の隠蔽と保護

やってほしいこと
・先日書いた、現代の「よみかきそろばん」教育を実現するための投資。現在の教師への再教育を含む。
・国際的に競争力のある教育機関育成のための産業政策(東大の世界ランキングを、もうちょっとあげましょう)


<厚生労働省>
やらなくていいこと
・労働組合運動に関するお仕事
・「日本の」医者と製薬会社の既得権益を守るための諸施策

やってほしいこと
・全く現状に即していない労働基準法の改正
・メンタルヘルス問題を含む新しい職場問題への対応
・人材紹介、派遣業等への権限委譲と規制緩和
・医師を増やし、教育制度を充実させることへの投資(時代遅れの医師法の改正を含む)
・医療高度化への対応と、安全確保策の設定(医療過誤、副作用問題など)
・フィリピン等への介護者ビザの発給の大拡大


<法務省>
やらなくていいこと
・司法試験予備校との不毛な戦い(司法試験制度の改正含む)
・中途半端でその場凌ぎの、つぎはぎ法改正(特に商法、民法)

やってほしいこと
・法律を現代文に直す
・義務教育からの法律教育の強化
・時代を見据えた商法(その他経済法)、民法、刑法等の「事前の=泣く人が出てくる前の」法改正
・裁判の迅速化


<その他>

  • 経済産業省は、社会環境安定省とかに改名。エネルギー庁なんて、環境安全局とか作ってその下に置けばいい。中小企業庁は、そのままでOK。あとは、産業再生局が必要かな。環境庁は、その中に。後の局はいらないかも?
  • あらたに必要な省庁=観光省
  • 外務省は、40才以上は全員雇い直せばいい。外交官は、全部もと民間人でもいいぞ。諜報部門の大拡大は必要。CIAですね。
  • 財務省は、国税局と切り離してください。金融庁はもっと強化。
  • 自治省*2は、道州制だけとにかく早く達成してね。

他にもありそうだが、覚えてないので、このあたりで。


★★★

社会に不可欠で、価値の高い仕事がやまほどあるにも関わらず、高度成長時代に必要であったことを、未だに続けている我が国の公的部門。本当に悲しい感じです。


ではまた明日〜

*1:今は文部科学省

*2:昔は内務省、今は総務省。どちらかというと復権かもしれない・・・