共産“趣味”

あたしは共産“趣味”なんだけど、資本論も読んだことないし、共産党宣言はちょっとだけ読んだけど理解できませんでした。

なのになんで共産主義に興味があるか、というと、

疑問その(1) 共産主義がこんなにも人を惹きつけるのは何故か?

これが長年解けていない疑問、というか、「是非知りたい!」ことです。

「そんなもんに惹きつけられているのは、お前だけだ?」って? そんなことないですよ。ロシアなんて、これで 74年間を無駄にしたんだから。

共産主義って、世界中でものすごい弾圧されてきたのに、よくもまあこんな長期にわたって信念に充ちた信奉者が存続してますよね。

AUMなんて一回大量逮捕されたらもう壊滅的なわけです。共産主義者だって何回も何回も大量検挙されて弾圧されてんだよ。それでも生き残る。「なんで?」って感じです。

疑問その(2) 共産主義って、結局何?

これが2番目の疑問。社会思想なのか経済学なのか、政治制度論なのか、宗教なのか? 分野さえわかんないから、「つまり何?」という本質がわからない。

そもそも成り立ってない理論だから、歴史の中でいろんな国のいろんな人が、その場その場で時代に合わせて適当に「これが共産主義だ!」とやってるから、とてもわかりにくい。


あと「一対一対応しているが同義ではない」という概念が多いんだよね。たとえば、共産主義=共産党ではないでしょ。

中国なんて共産党が政治独占する資本主義経済国だし。スターリンや宮本顕治がやったことの大半はもちろん、レーニンのやってたことさえ「イコール共産主義か?」と言われると、そうとは言えないこともたくさん含まれてる。そこが峻別できないから理解が進まない。

大きく言うとこの二つの疑問に答えがでれば、ちきりん的には一応納得し、この問題を「済みボックス」に入れることができるんだけどね。

★★★


特にわからないのは、多種多様な概念同士の関係です。関連本にでてくる言葉を適当にピックすると、カテゴリーとしては、下記A)からF)の6個くらいに整理できる。

A)共産主義という思想
B)共産主義経済(orマルクス経済学)という経済思想
C)プロレタリア独裁という政治制度
D)共産党という政治運営主体
E)レーニン、スターリン、毛沢東、宮本顕冶など個人が行った(共産主義とは無関係な)事柄
F)共産主義を支持しない「左」の人たちの考えや行動(新左翼とか社会党系の人ね)


で、以下の(あ)から(こ)の概念は、上のA〜Fのどれかに関連するキーワードなんだと思われます。


あ)「能力に応じて生産し、必要に応じて配分する」・・・これは多分Aなんだと理解してるんだけど。こういう社会が「歴史的必然として資本主義の後に実現されるはず!」というのが、共産主義という思想、マルクスが考えたことの本質なのかな思っているのだけど、この認識は正しいんだろうか?


い)生産手段の共有化(私有財産の禁止と同義?)・・・これは、Bだよね。「労働」という価値から生まれる余剰利得を搾取されることを防ぐ方法論として提示されていると理解しているんだけど。


う)計画経済・・・5カ年計画、とかね。共産主義国は必ずこういう計画をたてます。これもBかな。「市場経済」の反対語であると理解してよいのだろうか。


え)階級対立or階級闘争・・・資本家、特に独占資本に対する、プロレタリアート=工場労働者との対立ですね。これはCに関連する用語か。


お)ブルジョア・・・これが、わかるようでわからない。階級対立とは、「独占資本vsプロレタリアート」なのか、「ブルジョアvsプロレタリアート」なのか、わからないです。独占資本=ブルジョアなのか、そうでないのか、ブルジョアってのは必ずしも独占資本ではないのかとか。


か)武力革命(or武装蜂起)・・・これもCの政治制度の話だと思うんだけど。プロレタリアート独裁を達成するための唯一の手段は武力革命である、ってこと? それとも「暴力を使うのもやむを得ない」ってことなのかな。


き)民主集中制度・・・わかりやすくいうと中央集権制度、もしくは、カリスマ独裁制度ってことですね。これは、Dの共産党の運営手法のひとつだと思う。


く)革新・・・共産勢力のことを「革新勢力」っていうでしょ。「革新系知事」とか。これって保守に対する対語として使われていて、意味が相対的なんだよね。最近は民主党が「革新」、小泉さんが「革新」とか言うから甚だわかりにくい。


け)前衛・・・これもわかりにくい。思想の最先端を走る(だから、大衆からは受け入れ難い)リーダーとなるべき資格を持った主体、という意味なのかな? イメージだと「過激な人」って感じだよね、最先端だから。共産主義以外でも、たとえば芸術でも前衛的、ってのは使われるから、一般用語なんだと思う。


EとFは共産主義とは関係ないので、関連用語をあげるのは省きます。例としてはEに入るのが、粛正、査問、民族vs国際連帯主義、等々・・


★★★


A〜Fを目的→手段、という流れでまとめると、

「能力に応じて生産、必要に応じて配分」される社会が「そのうち」到来する
 →(そのためには)搾取構造をなくすことが必要
 →(そのためには)生産手段の共有化&計画経済が必要
 →(そのためには)プロレタリア独裁が必要
 →(そのためには)武力革命が必要
 →(そのためには)民主集中制度が必要
 →(そのためには)スターリンだとか宮本顕冶とかが不可欠or不可避。
こういう流れでいいのかな?


書いてて「やっぱわかんない」と思うのは、一番最初の文章だけが「自然にこうなるはず」という文章だからよね。

「高度に発展した資本主義の後に、それより優れた共産主義の世界が実現する」というのは、「自然に起こることだよん」と言っているみたいに思える。

ところがその後に、「そのためには、こうせねばならない」が多すぎ(しかも、過激な、実現不可能なことばっか)なので、「自然に起こるよ、と言われていることを実現するために、なんで、そんな多大な努力が必要なのさ?」ってのが、そもそもわからない。

「種をまいて水をあげれば芽が出る」と言われたのに、そのためには汚染された土壌を改良し、数千キロ先から水を引く灌漑施設を作り、大気中のCO2濃度を一定以下に下げる装置を発明し、んで、種撒いて水をやったら芽が出ます、という話ですよ、というように聞こえる。


これはどーゆーことなの? マルクスは「自然にそーなるよ〜」と言っていたが、実際やってみたら大変だった、ということなのかな。

それとも、自然になるはずだったが、環境変化とかリーダー不在とか別の要因によって、自然に起こるべきことが阻害された(=種撒いて水まいたら、翌日台風と洪水が来た、みたいな)ということなのか。

まあ、前者よね。ただ「自然にそんなことが起こるわけないじゃん」とか言えるのは、後付だからであります。


★★★


とりあえずここまで。ヒマになったら、ちゃんと勉強してみたい。

そもそも歴史というのは、当時の時代背景(主義者的にいうと、「状勢」とか「政治風土」)に照らして理解しないとわからない。だから、本当はこういうことに詳しい人の話を聞いたり、勉強会とか大学とかに行って学べばよいのかもしれないのだが、だいたいにおいて、こういうことを教えている人というのは、偏っているような気がして怖い。

このあたり難しいところです。


ではまた明日〜