NHK受信料ってほんと仕組みが納得できないよね。
ちきりんとしては、「スクランブルかけてください」と言いたい。
ところが、「NHKはスクランブル化に強硬に反対」しています。
そりゃーそうです。
だって、スクランブル化&有料化にすると、たぶん収入は5分のイチくらいに減ります。
今、日本の全世帯数は 4700万世帯くらいかな?うち、NHKの受信料って 3700万世帯くらいが払ってます。まじ?ってくらい沢山の人が払ってます。
スカパー!とかWOWOW、ケーブルテレビ最大手のJコムなら、同じ値段で 15〜20チャンネルが視聴可能です。
それでもそれらの有料サービスの契約世帯数は、300万世帯程度。NHKの10分の1しかありません。
当然ながらNHKがスクランブル&有料化すれば、加入世帯は 10分の 1に近くなると予想されます。
「NHKはとても人気があるから、スカパー!やJコムの5倍の数の人が申し込むはず!」という非現実的な仮定をおいても、収入は半分になります。(実際には、スカパー!やJコムの 3倍くらいの契約者は獲得できるかもしれません。)
いずれにせよ、今のような収入はまず確保できません。だからNHKはスクランブル化に強硬に反対しているのです。
★★★
この件、問題だと思うことを整理すると、
(1)公共放送と非公共放送の抱き合わせ販売
(2)高すぎるプライシング
(3)不公正で非合理な課金システム
の3点です。
(1)が一番問題。
NHKと政府のロジックは、「公共放送だから全員が払うべき」というものです。しかし、チャングムや冬ソナが「公共的な内容」とはとても思えない。まずは、ちゃんと「何が公共放送なのか」定義してほしい。
本当の意味で「公共的」と言えるのは、
・災害系報道
・選挙系報道
・行政サービス系報道(介護保険制度が変わりました、とか)
ここまでが「最低限」。これをレベル1と呼びましょう。
つぎが、レベル2。
・教育系や文化系の番組
・国民の生活を支える番組
これらは「視聴率が期待できないので、民放では放送されないが、国民の教育・啓蒙に役立つと言われるもの」ですね。
レベル3が、
・毎日の最低限のニュース
・「国民の楽しみ」と言えるレベルの娯楽番組(紅白とか“視聴率3割以上”ののみ)
かな。
以下のような番組は、「非公共的」番組だと思う。民放やケーブルテレビ局で同様の内容が沢山ありますからね。
・ドラマ(朝ドラ、大河ドラマ、その他。当然、韓国ドラマを含む)
・歌番組
・ドキュメンタリー(プロジェクトXとか含む)
これらの番組は、スクランブル化して有料化し民間と競うべきだし、強制的にお金をとるべきではないと思う。
そもそも5チャンネルももってるんだから、
チャンネル1:レベル1のみ放送・・・強制加入で有料(税金化)
チャンネル2:レベル2と3を放送・・・・任意加入。ただし、格安提供(税金補填)
チャンネル3以下:自由になんでも放送・・・スクランブル化で有料化。価格も自由設定。
チャンネル1のみ普通放送。2,3はスクランブル化、にすればいーじゃん。
公共放送だから強制加入、強制徴収といいつつ、非公共放送的なものを「抱き合わせ」で押し売りしているということが、一番納得できない点です。
二番目の「高すぎ」は、ふたつの理由がある。
・スポンサーもいないのに、民放と競って「非公共番組」で、かつ「高額な番組」の放映権を獲得しようとするから(ワールドカップとか韓国ドラマとか)、コストが高くなっている。
・そもそも高コスト体質すぎる。(公務員と同じ。生産性を上げるインセンティブが働いてない。番組制作費を横領して解雇にならないなんて信じがたい甘さだ。)
これらは、上記の一番目の問題を解決すれば、一緒に解決できます。レベル1だけなら、そんなにお金かからないでしょ?
三番目は課金システム。
公共放送のうち一番大事なのが「災害系報道」なんだと思いますが、本当に深刻な災害の時は、皆テレビよりラジオを聴くんじゃないの??
このロジックで徴収するんだったら、「ラジオ持っている家からとる」べきだよ。
そもそも「災害報道に特化」したら、テレビよりラジオ、ラジオとあわせてネット配信の方に軸足がうつってくるはず。知恵はいるけど、お金はかからないはずだ。
それに、公共放送に関して言えば、テレビ持ってるとか持ってないとかいわずに税金化すればいい。テレビもラジオもない家の住人でも、災害報道が行われることのメリットは必ず享受するんだから。
なんで「すごい経費のかかる」「不公正な」課金システムを維持しようとするのか意味不明。
NHKのHPによると「税金からお金がでると、政府からの独立性が保たれない」って書いてあるけど、今のNHKが「政府から中立・独立」なんて思っている人いないよ。
それにね、今の時代、お金の出所とガバナンスを分離する方法はいくらでもある。「中立=資金は独自調達しかありえない」というロジックはなりたたない。
トヨタもキャノンも言っているだよ。「(お金の出し手である)株主だけを意識した経営をやっていないから、我が社の業績はすばらしいのです!」と。
あと「白黒テレビだと安い」ってのも笑える。
NHKはカラーで放送していて、受動体のテレビの能力の限界により「白黒に見える」わけでしょ。
このロジックで言うと、ワインや料理の値段は「味のわからない人」=受動体の能力の限界により美味しいと思えない人、には安くすべきなのか??提供者は同じモノを提供しているけど、受け手側の能力のために、それだけの「価値が感じられない」んだから??
というわけで、私のお勧めは、
・公共放送と非公共放送を分離し、
・公共放送側は税金化し、
・非公共放送をスクランブル化&有料化することです。