Tokyo is for...

現実のニュースで、韓国の李明博大統領が「大統領就任式の時は日本の首相のみと会談する」と発言し「日本重視」の姿勢を見せてるとのこと。「未来志向が必要だ」って言ってるらしい。


どーも信じがたい。

だって、この人はドラマの中では(“英雄時代”というドラマね)、朴正煕大統領が韓日国交正常化をしようとするのを「屈辱外交」と位置づけ、学生運動に身を投じ逮捕投獄までされている人なんだよ。それなのに、ずいぶん昔と違うじゃん?

まあ、日本だってあのナベツネが共産党活動をやっていたわけだから、時代というのはそーゆーもんかもしれんけど。

などと、現実とドラマの境界線がつかなくなっているちきりんなのです。

だって、テレビといえば今やニュースと韓国ドラマしか見ないちきりんなのに、どっちみても李明博氏が出てるんだから、そりゃあつながっちゃうわけだす。



一方で、2.26事件や大正デモクラシーの本を読みつつ、時代背景の全体感を掴むことに四苦八苦している身としては、「日本も近代史をドラマにすりゃーいーのに!?」と、最近すごく思うのよね。

日本の大河ドラマって、なんであんな“侍時代”の話ばっかりなんですかね???大半が幕末・明治の始め、で終わってるでしょ?

近代史に関しては解説番組はあっても、一気通貫して時代の背景を語るようなドラマが少なすぎる、と思うのだけど。その時代のドラマでも“できる限り背景の時代についてはサラッと流す”ようにしているみたいにみえる。つまり、「あえて時代を描くことを避けてる」という気がする。

明治から昭和への近代化から軍国化への歩みとか、戦後の復興と米国支配の確立期とか、テーマとしてすごくおもしろそう。

60年、70年の学生運動だってストーリー性に溢れた時代だったのに、映画もドラマも「超・変」なマニアックな記録(記憶)映画みたいなのしか存在しない。そーじゃなくて、お茶の間で見られるドラマで、そういう時代の普通の学生の生活を描くようなそういうドラマが(韓国ドラマには沢山存在するのに)なんで日本では少ないのだろう??視聴者が見たくないのかな??

ひとつの理由としては、構成作家とかテレビ局のダイレクターとか自身が、ちきりんと同じで(そして視聴者も同じなのだが)、近代史を勉強してない(学校がとばしている)から、具体的な関心が持てないからなのでは?とも思っているのですけどね。


確かに微妙な判断を伴う時期ではあります。中国での虐殺を「なかった」とかいうトンデモご意見まで存在し得る世の中だからね。ドラマにしようとするといろいろ気を遣うこともあるんだろう。なんだけど、そういう「いろいろややこしい」ことにたいするリスクの取り方も、日本と韓国ではすごく違う、という気もします。

“英雄時代”は、前にも書いたとおり、軍事独裁政権や財閥を評価しすぎであるとして韓国国内ではイマイチの評判であったらしいと書いたけど、財閥や当時の政権関係の人だって、手放しでこのドラマを喜んでいるわけでもあるまいに、と思います。韓国の近代政治史は自民党独裁が続いた日本よりよほど複雑なのだから。

“京城スキャンダル”にしても、あれでは日帝時代がまるで明るく楽しい時代のように描かれている、という批判も当てはまる、と思う。苦々しく思う人達はいるでしょう。

なんだけど、「まあ、ドラマなんだし」ということで「作っちゃう」という姿勢があるんだろうな、と思います。日本より韓国のほうが、おおらかというか、細かいことを気にしてない。大胆な感じがする。

それが、(こじつければ)日本製品の精密さが未だ競争力をもっている所以でもあり、少なくともグローバル企業に関していえば日本企業が韓国企業の経営にずいぶんな差を付けられてしまったことの理由のひとつなんだろうなとも思います。

★★★

ところで最近、韓国ドラマが放映されるとき、登場人物の「胸のあたり」にボカシがかかるケースがあるんです。これなに?と思いました。もちろんエッチな場面とかではないですよ。洋服を着ていて、普通のドラマのシーンで、特定の登場人物の「胸」のあたりに大きなボカシがかかる。

なんだろう????

とすごく不思議だったのですが、つい最近、思いついた。

「洋服の胸についているロゴ」を消しているんだと思うんです。日本ではテレビに映せないロゴ、がついているのだと思う。もちろんエロ系のロゴではありません。儒教国韓国はそういうことは日本よりうるさいので、そんな服は最初から使ってないはず。


じゃあ、どんなロゴがついている服なのか?


可能性はいくつかありますが、たぶん偽物ブランドロゴか、キャラクタープリントがついているんだと思います。キティちゃんとかポケモン、ミッキーマウスとか、全くロイヤリティが払われてないと明らかにわかる「偽物系Tシャツ」を着て演技してるんだよね。偽物シャネルとかもあるかも、です。

いずれにせよね、たとえ韓国国内でしか放映しないという前提の時期であっても、そんなロゴのついた服を使って撮影するという“おおらかさ”“適当さ”“いいかげんさ”がおもしろい。日本のテレビ局だともうちょとそういうの気にしていると思います。

で、そういう“おおらかさ“があるから、ああいう自国の近代史を、様々な思いを持つ人が存在する“ついこの間の記憶”を、いろんな形でドラマにできるのかもね、とも思います。

違う言葉で言うと、いろいろ考えすぎると、できなくなることが多くなるってことでもある。




関係ないけど。一つ前の出張で、ロンドンでこんなロゴが胸についているTシャツを見ました。

TOKYO is for US.

なるほど。うまいよね。



じゃね。