サミットって「頂上」って意味だよね。
すごい傲慢な呼び方だと思わない?
「世界の頂上」に君臨する国々の、「それぞれの国の頂上」に位置する大統領や首相が集まり「世界をどうするべ?」を話し合う、そのコンセプトからして、その「頂上会議」という名前からして、あまりにも傲慢なこの会議。
始まったのは1975年。
なんでかって?
前年のオイルショックで「やばっ」って思ったからだよね。
それまで搾取に搾取を重ね、いいように弄んできた中東の国々が「石油は俺たちのもんや!メジャー資本の好きなようにはさせへんでえ!」と立ち上がったのが1974年。これにより第一次オイルショック勃発。
それにたいして「頂上の国々」が「おっ、なんかヤヤこしいこと言うとるで?」ってなもんで「ちょっくら話合おか?」と集まった。それが1975年の第一回サミット。そのときに入ってた国が6カ国。Group of sixでG6。
アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリアと日本。
「なんでイタリアが?」と思った人はG5とも言ったりする。
(ただし、イタリア人は“なんで日本が?”のG5だと言う)
★★★
次回からはカナダが怒った。「うちも先進国や!!」
アメリカが味方した。
「そやな。うちの他は全部、欧州とアジアやもんな。カナダも入れたってくれや」
他国は、当然同意する。
「どないでもええわ」
翌年からG7。
「あんなん(=カナダ)入れるんやったら、EUもいれてくれ」とフランスとドイツ。
「ええで」とアメリカ。「そやけど、EUは国とちゃうからゲストや。そやからG8やなくてG7でええか?」
「ええで」(フランスとドイツ)
“G7の時代”続く
★★★
途中でロシアが資本主義国になった。
「西側諸国になったんやから入れてくれ」
「おお、ええで」←米国
G8。
★★★
今回、洞爺湖に(正式に)来ている国のリストは下記。
日本
アメリカ
カナダ
英国
フランス
ドイツ
イタリア
ロシア
以上8カ国とEU
中国
インド
メキシコ
ブラジル
南アフリカ
韓国
インドネシア
オーストラリア
の8カ国
タンザニア
ガーナ
エチオピア
ナイジェリア
アルジェリア
セネガル
の6カ国
全部で22カ国とEU。
★★★
何を意味している??
「サミット=頂上の国だけでは、問題が解決できなくなった」ことを意味している。「頂上の国だけで話し合っても、なんの意味もない時代が来た。」ことを意味している。
「頂上の国々」だけで話し合えば世界をコントロールできた時代。それは「サミット」に意味のあった時代である。しかし、現在起っているどの問題も「頂上の国」だけでは解決できない。
環境問題も食料不足も、問題の大半が「人口の多い国」で引き起こされる。「頂上の国」とは「経済的に頂上」の国だったわけだが、人口数では必ずしも頂上の国ではない。それどころか大半が少子化に悩む国々だ。
石油を消費するのも、今や「経済力」ではなく「人口」だ。先進国はもうガンガン石油を使う工場を建てないし、洋服は化繊より麻やら絹やらが人気だ。一方で人口爆発の国では、車を含む交通機関だけでも今後もすごい量の石油を使うことになる。
「金持ちだけで集まっても、なんも決まらんなあ。問題は、頭数や」ということになってきた。たった8カ国ほどで世界の富の大半を握っていた時代の終焉。「インドと中国」抜きに「世界の人口の大半」は押さえられない。しかも今やそっちの方がよほど大事なコンセプトなのだから。
それとも“戻ってきた”とも言えるのか?農業と狩猟の時代には、金なんかじゃなく、家族の頭数が重要であったように?
というわけで、今年の「サミット」は「22カ国+1が集まることで」、世界に象徴的に示したと思う。「世界の皆さん!頂上の国々だけで世界を支配できる時代は、今、ここ洞爺湖で終わりましたよ!」と。
おもしろいのは、その「サンドイッチ構造」だ。
サミットは1975年、人類史上初めてのオイルショックを受けて始まった。「頂上に君臨する先進国様に、初めて刃向かった中東の産油国」を「頂上の国々様がどう押さえ込むか」を話し合うために、集まり始めたのだ。
そして、2008年、新たなオイルショック元年の今年、そのサミットの寿命が終了した。
“石油ショック<サミット>石油ショック”
サミットは、20世紀のオイルショックによって始まり、21世紀のオイルショックとともにその役割を終えた。
世界の国を支配するのは、もはや「経済的に頂上の国」ではない。この地球を支配するのは、“地球の奥底に黒々と輝く化石燃料”。そして“食べて、寝て、排泄する人間達”の頭数。
さらばサミット!
さらば石油も大人口ももたないニッポン!
さらば!読者の皆さん。おやすみなさい!!