超てきとー)メディア別・入社時代別 人生総括表

先日、田原総一朗さんが「メディアの主役はずっと新聞だったけど、80年代にテレビに主役を奪われた」って言われてて、「ほー!」と思った。

これ、私の年齢でさえ「そーいわれれば」って感じだけど、若い人なんてもっと「へっ?」じゃない? 新聞がテレビよりメジャーだった時代なんて知らないでしょ。

でも実は、NHKのテレビ放送開始が 1953年なのに対し、朝日新聞は大阪での発刊が 1879年、さらに「新聞は“かわら版”から始まった」とか言い出したらもっと古い。


田原さんが言うには、彼がテレビ界で働き始めた頃、新聞界の人はテレビを「どうせテレビなんか絵を映してるだけだろ」って小馬鹿にしてたらしい。

「絵を映してるだけ」って、今となっては何をどうバカにしてるのかさえよくわからない。


さらにおもしろかったのは、当時、記者クラブには新聞記者しかいなかったのだが、NHKがテレビで初めて記者クラブに入ったって話。

つまり記者クラブはそのとき、テレビという新参メディアに開かれたわけです。

それでも当時は政治家の記者会見などがあると、会見後にNHKの人は新聞社の人にこう聞いてたらしい。

「今の話、新聞では何面の何段くらいの記事になりますか?」って。


つまりNHKの人は、発表されたニュースがどれくらい重要なのか、自ら判断するのではなく、新聞社だったら一面に載せる記事なのかそれとも 3面なのか、1段なのかそれとも 5段記事なのか、と聞き、

それを目安にして「じゃあこれは夕方のニュースのトップにしよう」とか決めていたらしい。


ひゃー

そりゃー確かに「新聞の方が格上」の時代ですわね。


でも次第にその力関係は変わり始め、「 70年代の後半から 80年代にかけてテレビの影響力が新聞より大きくなり、90年代には大きな差がついた」ってのは皆さんもご存じのとおり。

こう考えてみると、案外、最近の話なんですよね、テレビがメディアの王様になったのって。


まとめるとこんな感じかしら?

60年代・・・新聞がメディア王者の時代
70年代・・・まだ新聞がトップ
80年代・・・逆転の始まり
90年代・・・テレビが王者の時代へ!
2000年代・・・引き続きテレビが王者
2010年代・・・逆転の時代の始まり? (←今年がこの10年の初年)
2020年代・・・ネットが王者の時代


確かに今年は「ネットとテレビ、逆転の 10年の、始まりの一年目」って雰囲気だった。

その逆転には、まだここから 10年かかるのねー。

でも、人が働く期間は 23歳から 65歳として 40年以上。

30年くらいでメディアの主役が変わるなら、誰しも自分が働いているうちに一回くらいはメディアの主役変化に出くわすってこと。


で次は、「いつ、どのメディア企業に入ったらどんな人生だったか」を図解してみました。


まずは新聞社に入社した人を、入社した年代別に書いてみると・・・
(ピンクが黄金時代、オレンジが成熟期、グレーが没落期)


新聞社に就職した人でもっとも幸運な人生が送れたのは、1950年代に入社した人ですね。

この人達は「新聞のほうがテレビより圧倒的に上」という状態の時に働きざかりで、テレビが黄金期を迎えた頃には既に引退モードに入れています。完全に逃げ切り。

とはいえ、入社した 1950年代というのは、まだ多くの人が「戦争を煽りまくり、大本営発表ばっかり書いてた新聞」をよーく覚えている時代。

そんな時代に新聞社に入ったからこそ、その後のキャリアで報われた、ってことなんでしょう。


その後、1960年くらいに就職した人も、最後はテレビにやられたとはいえ、“まあまあいい感じ”でメディア人生を終えることができてます。

1980年代あたりだと「テレビのほうがメジャーだけど、テレビは娯楽中心なので、新聞のほうが社会意義のあるメディアだ」と感じて入社した人が多そう。

雲行きが怪しくなるのは、 1990年代入社あたりから。


さらにその後、2000年以降に新聞社に入った人は、最初から「テレビには全く歯が立たない」時代しか知らない上、働き盛りの頃には、ネットメディアに存在を脅かされる時代に突入しています。

今後はさらに厳しく、完全に「時代遅れの産業に就職した」感じ。


テレビ局に入社した人の場合は・・・


一番、得をしてるのが 1970年代に入社した人です。

彼らは 30代の頃にバブル期=テレビ業界にじゃぶじゃぶにお金が流れ込んだ時期に、もっとも脂ののった仕事ができてるんです。

1980年代の前半入社の人あたりまでは同じかな。


1990年代の入社の人は、最初は黄金期だけど、働き盛りになってからは凋落傾向という一番“残念”なパターン。

当面は王者の位置にいられるけど、自分が経営者になる年代には「かなり厳しい時代」を迎えざるを得ません。

2000年代入社組あたりからは、さらに「厳しい時代」が長くなり、2010年代の入社だと「撮影・編集技術や番組製作ノウハウだけ覚えた上で、さっさとネット系に転職すべき」な感じかも。


最後に、ネットメディアで働く人の場合、


2000年代に入った人はかなりの先駆者。

2010年代の就職組は黄金のキャリアパスで、2020年代での就職は王道の選択って感じっぽいですね。


栄枯盛衰・・・



そんじゃーね!

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