人工知能 (A I) に関する アンケート02 結果(前半)

先日行った人工知能 ( A I )に関する第二回アンケートの結果です。(第一回目のアンケート結果はこちら
今回の有効回答は 851名分でした。ご協力ありがとうございます。さっそく結果を見ていきましょう!

Q4. 高度な人工知能が開発され、普及する未来について、あなたの直感的な印象は?


すごい!
みんな超ポジティブだね。。。


ここで当アンケートに関する注意を↓

※このアンケートは、ちきりんブログ読者の考え方や意識を調査するものであり、世間一般の認識とは掛け離れている可能性があります。

明らかに掛け離れてるでしょ。留保なしの「楽しみだ!」が 57%とか、あり得ない気がする。

でもね。反対にいえば、ちきりんブログ読者でさえ 42%の人が「不安も大きい or 不安の方が大きい」と感じるのだから、一般だったら相当に多くの人が不安に感じるんだろうなとも思いました。

新聞社がアンケートとったら「楽しみだが不安も大きい」が 7割とかになるんじゃないかな。

★★★


次の質問

Q5. 高度な人工知能が開発されることに関して、不安に思うことは何ですか? 最大3つまで選んでください。なんの不安もない人は、ひとつも選ぶ必要はありません。


まずは、選んだ項目数ごとに回答者数を集計してみました。これ非常におもしろくて、

全体の一割の人は、「なんの不安もない」と答えてます。
最初は(私のミスで)回答必須にしていたので「不安は何もない」という人が巧く回答できず、ご迷惑をおかけしました。「その他」を選び、不安はない等と書いてくださった方は「不安なし」にカウントしています。

ほー!


このグラフを見て「おおっ!」って思ったのは、回答は最大3つ選べたのに、ひとつ or ふたつしか選ばなかった人もかなり多いってことです。


3つ選んだ人の中には、「いろいろ不安だ、3つじゃなくて5つ選びたかった」という人もいるでしょう。でも、そういう人は最大 41%なんだよね。


残りの 59%は(何の不安もない10%の人も含め)「不安なコトは、せいぜいコレとコレ」くらいにしか感じてないわけで、やっぱ全体として非常に人工知能技術に肯定的な感じだと思います。


不安項目別に見ると一番多かったのが「人工知能付きロボットが戦争に使われ始める」こと。

これねー、「絶対ある!」って思えますよね。ほらあの国よ、あの国。我が国と「密接な関係にある」あの国。

人工知能付きロボットがガザの子供達を殺しまくる未来とか、考えただけで気分が悪くなる。

順位 不安なこと 回答比率
01 戦争に人工知能付きロボットを使う国が現れ、ロボット(無人攻撃機含む)が人を殺し始める 46%
02 コンピュータ(人工知能)を人間がコントロールできなくなる恐れがある 45%
03 アメリカ政府やグーグルなど、人工知能分野で覇権を握った国や企業に、世界の主導権を握られる 33%
04 人工知能が人間の仕事を奪い、失業者が増える 18%
05 能力面で人間の存在価値が問われる(医師よりコンピュータに診断してもらったほうが安心、教師よりコンピュータに教えて貰った方が有益など) 16%
06 人間の考えていることや行動が把握&予測され、プライバシーがなくなる 15%
07 情緒面で人間の存在価値が問われる(結婚相手や子供、友人の代わりにロボットとの暮らしを楽しむ人が増えるなど) 13%
08 芸術面で人間の存在価値が問われる(コンピュータの作った絵、音楽、文章のほうが、人を感動させるなど) 4%
09 その他 10%

上位 2項目(もしくは 3項目と言ってもいい)の選択比率が突出して高いのですが、不安項目をひとつ or ふたつしか選ばなかった人も、多くがこれらを選んでました。

あと、一般的には「人工知能に雇用を脅かされるホワイトカラー」みたいな不安がよく取りざたされるのですが、当アンケートではそれらは 4位 5位となり、上位項目とは回答比率でもかなりの開きがあります。

人工知能に仕事を奪われるっていうのは、そんなに大きな不安じゃないってことですね。(何度も言いますが、当ブログ読者の意識です)

★★★


次に「楽しみなこと」

Q6. 高度な人工知能が開発されることに関して、楽しみなことは何ですか? 最大3つまで選んでください。何も楽しみなことはない、という人は、ひとつも選ぶ必要はありません。

今度は 80%の人が 3つ選んでおり、( 3つ選んだ人が 4割しかいない)不安についての質問とは大きく状況が異なります。「楽しみはひとつもない」という人も 1%だけで、「不安はひとつもない」人が 10%いるのに比べるとすごく少ないです。

ちきりんブログ読者にとって、「人工知能=楽しみなモノ」だってことが、ここでも現れてます。


何が楽しみなのか、選択された比率の高い順に並べると、

順位 楽しみなこと 回答比率
01 ルーチンワークや危険な現場での作業など、人間がやりたくない仕事をしなくて済むようになる 50%
02 交通事故や誤診などのヒューマンエラーが減り、事故が減る 41%
03 現在は未解決の様々な問題の原因や対策が、人工知能によって解明される 40%
04 生産性が上がり、人が働く時間は短くてすむようになる(もしくは、人手不足問題が解決する) 37%
05 今は想像もできない、すばらしい何かができるようになるはず! 31%
06 人工知能に支援されることで、人間の能力&脳力がパワーアップされる 24%
07 知的作業(調査、企画、開発、教育など)の生産性が圧倒的に高くなる 18%
08 人工知能が人間のカウンターパート(友人、家族、話し相手など)となり、孤独な人が減る 17%
09 人工知能やロボット産業が主要産業として拡大し、経済発展につながる 9%
10 その他 5%


1位になった項目がおもしろい。これって人工知能じゃなくてもデキることが多い項目なんですよね。

ルーチンワークの多くは、「自分で考えるコンピュータ」ではなく「プログラム通りに動くコンピュータ」で代替できるし、危険な仕事も、工作機械や遠隔操作ロボットで可能になる部分が大きい。つまり、必ずしも人工知能じゃなくても実現できるレベルの話も多い。

なのにこの項目が一位になったのは、「人が嫌がることこそコンピュータに任せたいのだあ!」というみんなの=人間の気持ちが強いのかなと。

その一方、コンピュータと人間が協業するイメージの「人工知能に支援されることで、人間の能力&脳力がパワーアップされる」は 6位なので、今のところ「人工知能は人間と協業するモノではなく、イヤなこと任せるモノ」というイメージなのかもしれないと思いました。


その後 2番目に多かったのは、「判断ミスをする人間」と「判断ミスをしないコンピュータ」の違いを大いに活用しようという現実的な話。

それに対し、3位にランクされた「現在は未解決の様々な問題の原因や対策が、人工知能によって解明される」や、5位に入った「今は想像もできない、すばらしい何かができるようになるはず!」には、人工知能への大きな期待を感じます。


個人的に印象的だったのは Q5、Q6のいずれにおいても、人工知能の情緒的な部分を評価する意見が少なかったこと。

たとえば不安側で、「情緒面で人間の存在価値が問われる(結婚相手や子供、友人の代わりにロボットとの暮らしを楽しむ人が増えるなど)」を選んだ人は 13%しかいないし、

楽しみの方で、「人工知能が人間のカウンターパート(友人、家族、話し相手など)となり、孤独な人が減る」を選んだ人も 17%で 8位です。

コレを見ると回答者の多くは、人工知能の「心」より「頭脳」に大きく期待してるように思えます。わたし個人的には心側への期待も大きいんですけどね。

★★★


というわけで、ここまでも大変おもしろかったのですが、「その他」で寄せられた自由回答にも興味深いものがたくさんありました。

が、続けて書くのはちょっと長すぎるので、その部分は次回のエントリで紹介します。アンケートに答えてくれた皆様、ほんとーにありがとう!


そんじゃーねー

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