もっともっと改善できるはず

大きな地震が多い日本では、防災や被災者支援はどんどん進化しています。

神戸の地震の時は道路規制もなく、大火事が起こってるのに大渋滞で消防車がまったく到着できませんでした。

ボランティアもバラバラに活動してたし、仮設住居への入居の際、“ご近所さん”は遠く離れた異なる仮設住宅に分散させられました。

お湯が無い避難所にカップ麺が大量に届けられ、食べられずに野ざらしにされたことも。


でも、神戸のときのそれらの経験は次に活かされ、災害のたびに日本の災害支援はどんどん改善されています

建築基準法が大幅に改正(強化)され、大災害が起これば幹線道路はすぐさま緊急車両優先に切り替えられるよう、制度が変わりました。

ボランティアセンターが作られるようになり、仮設住宅には“ご近所の絆”を保ったまま入れるよう配慮されるようにもなっています。

お湯が無くても食べられる非常食の開発も進んでいるし。


すんばらしい!!!


とはいえ、まだまだ避難してる人への支援が完璧とは言えません。

今も熊本の避難所では満足な食事も手に入らない人が多数いる一方で、大量の支援物資が途中経路で滞留しています。

授業を再開するという理由で、多くの人が避難している学校から避難住民が移動させられたり、避難所で亡くなる災害関連死も出始めています。

またしても大混乱してるけど、この教訓は必ず次に活かされる(はず)。


あたしからの提案は3つ

1.避難所は、被害地域の外の近隣自治体でも開設しよう!

いつだって被害が起こった自治体はすぐに避難所を開設するけど、これに加え、「被害が起こった自治体の隣の県や町の自治体も、必ず避難所を開設する」ことにしたらいい。

なぜなら!

被害に遭った自治体では、水や電気などライフラインが止まってることも多いでしょ。

コンビニやスーパーも閉まっていたり、品薄だったり。もちろん病院も大混乱で、薬も足りてない。

でも、隣の県や隣の都市では水も電気も止まってないし、普通に店も開いてて、病院もそこまで混乱してない。

神戸の地震でも、大阪や姫路では電気も水も止まってない。

今回の熊本地震だって、佐賀や長崎や福岡では、揺れはあっても普通に生活できてる。


だったらせめて、車椅子を使ってる人、透析が必要な人、精神的に不安定な人、妊婦、乳幼児を連れた人、なんかは、

「被災地で開設された水もない、トイレも仮設」の避難所で、毎日お弁当の配給に並び続けるより、

電気も水も自由に使え、コンビニもレストランも病院も普通に開いてる隣町に開設された避難所に移動したほうがよくない?


多くの場合、災害によって観光客のキャンセルが相次ぐので、大型バスも余ってるはず。 

乳幼児のオムツやほ乳瓶を被災地に運び入れるトラックの交通量を減らし、代わりに乳児連れの母親を被災地の外に運び出すバスが増えるわけだから、差し引き全体の交通量だって増えない。

しかも近県の町なら「自分は被災してない、かつ家から通える」ボランティアがたくさんいるから、支援の必要な人が集まる避難所でも支えていける。

全国からのボランティアも、被害現地が混乱してる間は周囲の都市で受け入れればいい。そしたらホテルにだって泊まれるのだから。


車椅子に乗ってる人って、仮設トイレ使うの、めっちゃ大変でしょ。

でも、隣町の公民館が避難所として使えれば、普通にバリアフリーのトイレが使えるんです。

乳児や妊婦にとっても、「蛇口をひねればいつでもキレイな水が出る」コトの価値はものすごく大きいはず。

日本の場合、根こそぎ町が流される津波とかじゃない限り、ライフラインは 2週間から 1ヶ月で回復します。

その間だけ、隣の県の県庁所在地にいるだけでいい。

で、ライフラインが復旧してから、自分の家の近くの避難所なり仮設住宅に戻ってくればいいんです。


今回、airbnbアパマンが、空いてる部屋を被災者に無料で提供すると発表してました。

すんばらしい。

てか、大災害が起こった時、ライフラインが止まってない近隣県や町のホテルは(どうせ観光客はキャンセルがでるんだから)、上記のような社会的弱者の避難者を無償で受け入れればいい。

その分の費用こそ、政府が緊急支出すればいいのだし、クラウドで目的限定の募金を集めたら、必要な額は集められるのでは?


そして次の提案が、

2.身寄りもお金もない高齢者を仮設住宅に入れるのは止めよう!

家を失った人に、行政はすぐに「仮設住宅」を作るけど、あれもどーかと思う。

仮設住宅が有効なのは、文字通り「仮の家」が必要な人だけです。

自宅が大きな被害を受け、もう住めないので、次の家を用意するまでの間の「仮の家」が必要な人には、仮設住宅は役立ちます。

でも、お金も身寄りもない高齢者に必要なのは「仮の住まい」ではなく「死ぬまで住める家」です。


仮設住宅に入って 2年後とか 4年後に出て行けと言われたら、困ってしまう人がたくさんいます。

出て行く場所も、それを用意するお金もない。そういう人が数年後の仮設住宅にはたくさんいる。

と気づいた時点でようやく行政は、生活保護を出して、アパートが借りられるよう支援します。


でもね。だったら最初からこういう人には、アパートに無償で入れてあげたほうがよくない?

仮設住宅って狭い上に音もダダ漏れ、夏あつくて冬さむく、あまりにも住み心地が悪い。

多くの場合、何にも使われてなかった空き地みたいな場所に建てられるので、周りに商店も病院もない不便な場所が多い。

そんなところに車も運転できない高齢者をギリギリまで住まわせた挙げ句、ようやく友達や知り合いができた数年後に他の場所に移らせるとか、どんだけ不親切なの?


しかも東日本大震災で使われた仮設住宅のコストは一戸あたり 500万円から 600万円。。。

そんだけのお金を使うなら、最初から空き部屋のあるアパートに住まわせてあげたほうが安いでしょ?

家賃+光熱費で月 10万円の部屋に 3年住む費用を行政がまるごと支払っても 432万円と仮設住宅より安い。

しかもこの場合、アパートの大家さん側にも収入が発生し、そちらからは税金も払ってもらえます。余計な引っ越し費用もかかりません。

もちろん少々古くても普通のアパートのほうが仮設住宅よりは圧倒的に居住性が高いし、そこで知り合った人とも、ずっと離れなくて済む。


最初から自宅再建能力がないとわかっている人を期限付きの劣悪な質の住宅に誘導し、数年後に「行く場所がない高齢者が困っています」って初めて気付いたみたいに報道する。

・・・NHKの皆様、災害から数年たつたびに全く同じ内容の番組をつくるのって、空しくないですか?


身寄りも貯金もない高齢者を「仮」の家に入れるのは、明らかにベストな支援法ではないんです。

最初から長く住める家を用意して、安心して暮らしてもらうべき。


今回、もっとも被害が大きかった町、熊本県の益城町では、家屋は全壊だけで 1000棟を超えています。もちろん町は、仮設住宅の建設を検討し始めています。

でもね。この 1000人( 2人世帯なら 2000人)のうち、仮設住宅から追い出される数年後までに、自宅を再建できる経済力をもってる人は、いったい何人くらいいるんでしょう?


住宅ローンを組めばいいって? その 1000人の平均年齢って何歳くらいだと思ってます?

ほんとに仮設住宅を 1000戸も(半壊家屋 4000戸を含めればさらにたくさん)建てるべき?

どうせ建てるなら、最初からずっと住める公営住宅を建てるべきじゃない? 高齢者施設を兼ねた造りにして。


ぶっちゃけ仮設住宅が減って困るのなんて、仮設住宅メーカーくらいのもんです。

まさかと思うけど、そういう会社にたくさんの天下り官僚がいたりはしないよね?

3.遠い自治体から物資を送るのは止めたら?

よく聞くのは、自分達のエリアが災害に遭った時、支援してくれた自治体が被害に遭ったら、「あのとき助けてもらったから今回は恩返し!」と、いろいろ物資を送るって話。


これもねー。

どうかと思うのよ。


たとえば、神戸から東北の被災地に毛布や水を送るとか、関東の自治体から九州に食料を送るとか。

時間がかかる上に輸送費が無駄じゃない???


災害があって少なからず日本中の物流が混乱する時期に、
なんで日本列島を縦断する形で、
水や食料など「もっと被災地に近い自治体でも手に入るもの」をトラックに積んで、
CO2を撒き散らしながら、
ドライバーを深夜残業させて送る必要があるのか、


ぜっんぜんわかりません!


いっそ法律でも作って、

・物資の支援は 150キロ以内の自治体だけが行う
・それ以上遠いところにある自治体は、資金援助だけを行う

って決めたら?


神戸が東北に支援をしたいなら、神戸がお金を出し、栃木県で水や毛布を買って送ればいいし、

栃木県が熊本に支援をしたいなら、栃木県がお金を出し、福岡で買った食料を熊本に送ればいい。

被災地に近いエリアで物資を調達すれば、ドライバーの給料や高速道路の代金だって削減でき、その分、支援額を増やせるじゃん!?


多くの場合、備蓄品には使用期限があるので、自治体は「期限切れで廃棄になるくらいなら、他の地域の支援に使ってもらおう」と考えます。

だからお金より、自分で保管してる物資を送りたがる。

それはわかります。

でもね、だったら、全国でそういう協定を結べばいい。

そして、神戸が東北に支援したいなら、栃木県の自治体の備蓄品を東北に送ってもらい、新たな備蓄品を買うお金を神戸が出せばいいし、

反対に栃木県が九州や中国地方の被災地に支援したい時は、神戸の備蓄品を買い取って送ってあげれば良い。

アタマを使って考えれば、いくらでも「もっといい方法」はあるんです。

★★★

まっ、ここに書いた案には最低でもそれぞれ 740個くらいの「実現できない理由」があります。

だからデキない理由を考えるのが好きな人は、何時間でも何日でもかけて、それを考えてればいい。

もしくは、「今の支援方法がベストだ!」と思ってるなら、「なにか改善できることはないか?」と考えるより、ひたすら「今の支援方法の枠組みの中で頑張る」だけでいいのかもしれない。


でもあたしは、まだまだ改善できる点は多いはずと思ってる。

まだまだ「考える必要があると思ってる」んです。


不幸にもこんなに災害の多い国に住んでいるのだから、支援の方法も少しずつでいいから進歩していくべき。

そうじゃないと、被災された方の苦労が報われない。



そんじゃーね

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