大規模水害リスト

50人以上の死者がでるなど、規模の大きな水害(大雨、台風、氾濫・洪水など)だけのリストを探してみたのだけど、見つからないので、自分で記録することにしました。

数字は 下記をwikipedia やニュースから拾ってきてます。
・継続中の災害については 死者+心肺停止者数
・過去の災害については、死者+行方不明者数

令和2年(2020年)7月 熊本九州豪雨 79人

  ↑ (1年)

令和元年(2019年)10月 台風19号 関東甲信越中心 94人

  ↑ (1年)

平成30年(2018年)7月 西日本豪雨 271人

  ↑ (4年)

平成26年(2014年)8月 広島土砂災害 84人

  ↑ (3年)

平成23年(2011年)8月 紀伊半島豪雨(台風12号) 98人

  ↑ (7年)

平成16年(2004年)10月 京都・兵庫など(台風23号) 98人


九州や四国、紀伊半島はしょっちゅう水害におそわれているイメージがありますが、「死者が 50人以上」に絞ると、必ずしもそれらの地域に集中しているわけではありません。

たとえば 2017年、平成29年の九州北部豪雨は、死者+行方不明数で42名です。このレベルの水害を含めれば、九州・四国・紀伊半島などの被害がもっとも大きいのかもしれません。


また2019年には台風19号の前に来た台風15号でも、千葉県でゴルフ場のポールが民家に倒れたり、1ヵ月近い停電が続くなど大きな被害が出ました。

西日本豪雨が起こった2018年には、別の台風で関西空港が水没し、海上の道路に船が激突して壊れるという被害も続けて起こっています。

上記では死者が50人以上の水害だけをリストアップしましたが、それより小さいもの合わせれば、最近は年に2回くらい、大きな水害が起こっている感じです。


それにしても、こうしてみると2018年の西日本豪雨は死者数が突出して大きな、すごい被害だったのだとわかります。

また、ここ3年は死者が50人を超える規模の水害が毎年のように起っており、大災害の間隔が短くなっているようにも感じます。

おととしも去年も今年も「100名もの被害者のでる水害」が起っているのだから、来年だって「どこかで起る」と考えるほうが普通でしょう。

★★★


ちなみにこれ、「大雨が増えた」ことに加え、「人口の多いところでの水害が増えている」のもあるのでは?

街全体が水没した岡山の真備町や、広島の土砂崩れが起ったエリアは、“田舎”というより「地方のベッドタウン」で、住宅がかなり集まっている場所でした。

同じ面積が水没しても、人口密度の高いところでは被害者数が多くなります。

ここのところ死者数の多い水害が増えている背景には、「雨が多くなっている」ことに加え、「ハザードマップを見れば、住宅地の新設など許されるべきではないエリアなのに規制がなされず、どんどん新築住宅が増え、人口が流入している」こともあるんじゃないかと。


というのも、災害の起りやすい危ない場所は、広い土地が余っていたり、不動産価格が他の地域より安かったりもするので、「自分が住むわけではない不動産開発会社」にとっては目を付けやすい(家を建てて売りやすい)エリアなんですよね。

客から見れば「そんな危ないところに新築住宅を建てて売ってるはずがない」と思うのかもしれませんが、実際のところハザードマップには「5メートル浸水します」と書いてある土地でも、不動産会社は平気で住宅地として売ってます。

西日本豪雨で家が流されてしまった人の中にも、「数年前にこの家を建てたばっかりだった」と言う人が何人かインタビューを受けていました。

でもその土地って、ハザードマップで事前に確認すれば、大きな水災害が起こり得るとわかっていたはずの土地なんです。


このあたり本当は自治体が規制すべきなのですが、実は自治体も長らく続く人口減少に悩んでおり、「価格の安い不動産が増えれば、人口が増える」と考え、黙認してきたフシがあります。

特に、経済的に余裕があるわけではない子育て世代を呼び込むには、市内に安い不動産が不可欠です。

駅前への集住(コンパクトシティ化)が進まず、むしろ(土地の安い)周辺地域に新築住宅が拡がっていくのも同じ理由なのですが、

「万が一の時には少々危なくても、不動産価格の安い地域に新しい家を増やす」ことで、住民数を増やそうとしてきた自治体の無責任さが、死者数の多い水害につながっている気もします。

★★★

ちなみに、さらにずっと昔、堤防やダムなどの治水がまだ整っていなかったからか、昭和30年代にはまさに「桁違い」の水害が起っていました。 

昭和34年1959年 伊勢湾台風 5000人超

 ↑ (1年)

昭和33年1958年 狩野川台風(伊豆・関東) 1269人

曲がりなりにもそれなりの対策が行われている現在では、こんな規模の死者数は(水害では少なくとも)でないはずと信じたいものです。


なお、不動産を買おうと思っているなら、ぜひ読んだほうがいいのが次の本です。
chikirin.hatenablog.com


また下記のキンドル本では、不動産を買うときの「無理のない価格の見極め方」や、マンションの「管理を買う」ということの意味、そして、どういう時に家を買うべきなのかといった基準などについて、私の考えを説明しています。

Vol.1 賃貸か購入か キンドル・リノベシリーズ (ちきりんブックス)
ちきりんブックス (2020-01-26)
売り上げランキング: 17



そんじゃーね!


<関連ツイート>