壊滅度別の業界リスト(新型コロナ編)

COVID-19, 新型コロナの感染拡大による実体経済への影響について、様々な業界の“壊滅度度合い”を独断と偏見でレベル分けしてみました。

<壊滅度5>
企業の存続が不可能になりかねないほどの壊滅度

旅行業界
旅行会社、クルーズ船会社、観光バス会社の他、個人ガイドさん、旅行グッズのレンタルショップ、免税店、土産物ショップなども
ホテル、旅館
借金して不動産を購入し、民泊やってる人も大変そう
観光施設、レジャーランド
百貨店
旅客運輸産業
航空会社、空港、新幹線など。ただしこれらの企業は倒産ではなく、ほんとに成り立たなくなれば国営化なんだろうと思います。
日本語学校、留学支援エージェント
海外からの労働者斡旋会社かな
飲食店、バー、クラブ
銀座の花屋や美容院など、飲食接待業に携わる人が使っていたサービスも含む
風俗業界
エンターテイメント産業
スポーツ業界、音楽業界(コンサート関連)、ライブハウス、演劇業界、映画館、映画製作会社など
イベント、展示館の関連業種
会場施設、貸しホール、イベントの備品会社、会場設営会社など
ブライダル産業
結婚式も続々中止となり、かつ、キャンセル料をとっていない会社も多いとか。関連のフリーランス(美容師さん、着付師さん、MCの方)や花屋さんなども厳しそう
エネルギー産業 
石油大暴落で、各種エネルギー会社だけでなく、資源投資の多い商社も
病院、クリニック
めちゃくちゃ忙しい(需要は増えてる)けど、院内感染がでたら倒産しかねないし、医療従事者自身、命の危険と背中合わせの勤務が続いてます


<壊滅度4>
上記に比べると若干マシとはいえ、企業によっては倒産、個人破産等がありえるレベル

インバウンド大量購入商品のメーカー
化粧品、一般薬、チョコレート菓子、保温ポットなど
酒造メーカー
宴会がすべて消え、居酒屋が自主休業するようでは、かなり売れ行きが低下してると思います。
タクシー会社
飲み会も減り、外出も減るので大変
広告会社
オリンピックも延期だし、イベントが軒並み自粛なので、細かい広告はかなり減りそう。カメラマン、デザイナーなど関係フリーランスの仕事も減少
就活サービス会社
企業説明会的なイベントは全部中止ですね。ただ、なんらか別のツール(オンライン説明会ツールとか)売ってそうなので、シフトは可能か
企業研修企業
集合研修は多くが中止。フリーランスの講師も大打撃。オンライン転換できればなんとかなるか。
教育産業 
学習塾や予備校は、オンラインに適応できるところ以外はアウト。反対に通信教育は良いのかも。
習い事産業
スポーツジム、ヨガ教室、オンライン対応ができない子供の習い事教室など。
企業は月額課金で収入を得てるので、収入減のインパクトはゆるやかかも。一方、業務委託で雇われてたインストラクターについては壊滅度5もありうる。
マッサージ店、エステショップ、鍼灸店
密室で密接に体をもみほぐしてもらうサービスに行く人は少なそう
家電量販店
オリンピックも延期だし、テレビを買う人もいないでしょう
高級ブランドメーカー
免税で買う旅行客が減っているし、富裕層は株価大暴落で消費抑制
アパレルメーカー、洋服店、靴屋など
出かける機会が激減すると洋服は売れませんよね。自宅勤務も増えそうだし。
雑貨などの小売店
高級食材
接待用のお店や宴会でしか売れてなかった高額食材は厳しそう
学校給食の関連業界
自動車(関連)業界
最初は中国のシャットダウンによる部品供給の停止で、後半は世界的な需要減退で。
半導体業界、電子デバイス系製造業
アップルでさえ売り上げが下がると言われているのと、中国シャットダウンによるサプライチェーン寸断問題で
ゼネコン、デベロッパー、不動産業界
オリンピック延期で、特需も止まりそう。不動産の値段もこの状況では上がらないでしょう。
鉄鋼業界
ゼネコンもエネルギーも自動車も船も売れないのに鉄鋼が売れるはずがない。
ハウスメーカー、工務店、リフォーム会社 
住宅設備の供給が(中国のロジスティックスの乱れから)遅れているし、当面、家を建てようとか、大規模になおそうと考える人は減るんじゃないかな。この時期にわざわざ住宅ローン組んでまで家は買わないよね。

国、都道府県、市町村
霞ヶ関、都庁、市役所、保健所などは、倒産はしませんが、めちゃくちゃ忙しくて大変なことになってるはず。


<壊滅度3>
業績悪化は避けられないが、倒産まではいかない企業が大半

人材紹介業界、人材派遣会社
人手不足の大トレンドは変わりませんが、一時的に派遣社員が切られるケースはかなり多そう
生損保業界 
クレジット業界
産業材全般
製造業が低調なので苦しいところが多いけど、物流関連の機械を作ってるところなど、特需が起っている会社もあるはず
総合商社
エネルギーも暴落だし、国際物流も出張も止められているので被害は大きい
テレビ番組の制作会社
ロケ中止、新規番組の製作中止などが始まっている。この動きが続くと大変かも
写真業界
入学、卒業などの記念日撮影の需要が低下
歯医者
治療ニーズは減らないけど、美容歯科や予防歯科はちょっと厳しいかも? (わざわざこの時期に行かないよね) 患者さんだけでなく、医療従事者側の感染リスクも高そうです。
美容院、ネイルサロン、プチ美容整形など
ホステスさん向けの美容室は壊滅でしょう。一般の人も気にする人(頻度が減る人)はいそうですね。
高齢者施設
デイサービスの利用率が低下。万が一、集団感染が発生したら一気に経営の危機(レベル4)
学校
倒産するわけではないですが、長い期間、授業が行えないので、いろんな面で影響は多大


<壊滅度2>
あまり影響をうけていない業種。もしくは、プラスマイナスの両方があり、なんともいえない業種

テレビ局
オリンピック延期は痛手ですが、視聴率はあがってそう
ただし数ヶ月たって大企業までCMを減らし始めたら壊滅度 3にアップするかも
出版業界
構造不況ではあるが今回の経済危機のインパクトという意味ではたいして関係ない
各種ウェブサービス
月額課金のサービスは、収入減で退会する人もいる一方、暇なので新たに加入する人もいそうです
コンビニ 
一次産業
高級食材は売れないけど、一般の食材は(子供が家で食べるようになったり、外食が減ることで)家庭での購入量はかなり増えてそう。ただし技能実習生が入ってこないので、労働力確保は大変かも
電力、ガス
長期的には原油安は追い風?
弁護士、司法書士、会計士、行政書士など
倒産、債務整理、補助金申請など爆増しそうなので、むしろ追い風?
IT業界(SI関係)
各種工事会社
貨物、物流
拠点で感染がでたりしているので大変とは思いますが、小口物流は相当増えてるはず。ただし、大きなものの物流は減っているかも(産業財とかは売れず、動かないので)
保育園
「危ないから預けない」という人がそんなに多いわけではなさそうだし、一部、空きがでても、新たな需要で埋まりそう。ただし集団感染が起きたら倒産の危機(レベル4)


<壊滅度1>
影響はありますが、むしろ業績がよくなってる企業もありそう

オンライン・サービスの提供会社
ZOOMが一気に拡がってますね。クラウドを利用したリモートワークの支援会社や、セキュリティ会社も大忙し
オンライン学習の会社や、オンライン上で講座を開設するプラットフォームなども新規登録者が急増
パソコンメーカー
社員の在宅勤務のため、自宅用のパソコンを支給する会社も増え、大量注文が相次いでいるよう。ただし部品調達や部品の値上がりがネックにも
ネット通販プラットフォーム
物流がまわらないくらいの増加
食材宅配会社
生協パルシステムや直送系の会社など含む
小口物流・デリバリー業者
出前館など出前ポータル会社や、UBER EATS やアマゾン配達などを個人で請負って運ぶ人を含む
保存食メーカー
インスタントラーメン、冷凍食品、レトルト食品、パスタ、缶詰商品などのメーカーはかなり売り上げがあがってるはず
自宅料理の材料や器具
お菓子作りグッズや材料(小麦粉、バターなど)、家庭用たこ焼き器、自動調理器なども売れてるらしいです
生活必需品の小売業(スーパーと薬局)
断続的に買いだめが続いており、3月以降の売り上げは相当、好調なのでは?
ゲーム・オンラインエンタメ
Netflix は加入者が急増して利益が 2倍に! 任天堂の新作ゲームやボードゲームも大人気。家庭用プロジェクターなども売れ行き好調
衛生商品メーカー 
マスク、洗剤、消毒液など
医療機器メーカー
特に人工呼吸器、防護服など
製紙メーカー 
トイレットペーパー、ティッシュ、キッチンペーパーなど
自宅学習書、絵本、児童書
ドリル系がめっちゃ売れてるらしい
在宅勤務の必要グッズ
家に仕事用の椅子やディスプレイモニター、イヤホンマイクなどを新たに買った人も多いのでは?
学童クラブ ←自粛要請がでたら一変 
利用者はめっちゃ増えてると思いますが、人手不足、労働加重で大変そう 
製薬メーカー
治療薬やワクチン開発に絡めるメーカーは大チャンス。それ以外は変わらず。
金融機関
中小企業からの融資依頼が急増し、仕事自体はめっちゃ忙しい。が、本当に返済されるのかよくわからない部分もあり。
また、万が一にも金融システムが不安定化すると、一気に壊滅度が上がる。
清掃・除菌業者
クルーズ船や隔離に使われたホテル、感染者のでた施設の除菌清掃を請け負う業者さんは特需らしい・・・


以上、とりあえず思いついた範囲でドラフトしてみました。

ところで、実は私、11年前のリーマンショックのときにも同様のブログを書いてます。

chikirin.hatenablog.com


で、今あらためて今回のリストと比べてみると、リーマンショックと新型コロナショックが社会や経済に及ぼす影響は、かなり異なっています。

違いその1 グローバル大企業ではなく、ローカル中小企業やフリーランスに打撃

リーマンショックで大打撃を受けたのは、なによりも投資、金融業界でした。リーマンブラザーズが破綻したのがその象徴です。

また、自動車や半導体など、グローバルな基幹産業も大きな打撃を受けました。

ただ、飲食店やイベント、エンタメ産業などへの打撃はそこまで大きくありませんでした。

ところが今回は、飲食店やエンタメ産業など、より小さな企業やドメスティックな企業、さらにはフリーランスなど個人事業主への影響がかなり大きくなっています。

つまり、もっとも困っている産業がまったく違うんです。このため、政府の「救いの手」を必要な人に届けるのが、前回に比べ格段に難しい。

金融業界やグローバル大企業なら経団連など業界団体を通してアクセスできますが、数が膨大で業界団体ももたない個人営業の飲食店やフリーランスのインストラクターに補償を届けるのは実務的にかなり大変そうです。

違いその2 需要減ではなく需要シフト。適応力が問われてる

リストを作ってみて気づいたのですが、リーマンショックのときは「全部ダメで、ダメさレベルに差がある」状況でしたが、今回は、需要が急増したり、伸びたりしている商品やサービスもけっこう多いようです。

つまり単純に「需要が低減」した前回とは異なり、今回は「需要のシフト」も目立つということです。

たとえば、外食は急減してますが、自宅用の食材は棚が空になるほど馬鹿売れしています。

また学習塾など「自宅でのオンライン学習支援」へシフトできたところは生き残り、そうでないところは残っていけないという形で、同じ業界内でも明暗がわかれるでしょう。

派遣業界だって、今まで大量に派遣社員を雇ってくれていた業界の派遣切りが始まってる一方で、新たに人手不足になった業界も多く、そういった業界への派遣を開拓(シフト)できるかどうかが問われています。

新しい環境への適応能力が問われているって感じですね。


とりいそぎ以上です。
追加、修正などありましたら、下記のツイートへのリプライとしてご意見をお寄せください。適宜、アップデートしていきます。



そんじゃーね!