NHKの世論調査

さっきNHKの世論調査をやっていました。3つの質問の結果が報道されてたんだけど、なんか時代遅れな質問だなあと思いました。

最初の質問は、「現代の日本では貧富の格差が広がっていると思いますか」という質問で7割の人がそう思う、まあそう思う、ってことでした。

だからどーした?という感じ。


「貧富の格差が拡大することは悪いことと考えるか?」っていう質問とセットで聞かないとよくわかんない。それに、そもそも「貧富の格差のない世の中」を目指していたんだっけ、私たちは?「みんなが豊かな世の中」を目指しているなら、まだわかるんだけど。


貧富の格差がある状態ってのは、「みんなが貧乏な状態」から「みんなが金持ちな状態」ってのに移行する途中の段階なんだから、「みんな貧乏よりまし」「みんな金持ちな状態にはまだ達してない」という状態なんだよね。

今回格差が広がっていると答えた7割の人のうち一定の人は、それを必ずしも「悪いこと」としては認識してないと思います。それが何割なのか?ということの方が、世論の変化を見るために重要な質問だと思う。



次の質問が、「親の経済状態や地位が子供の将来に影響すると思うか」とかなんとかいう質問。75%がそう思う的な答えです。これは年代別に集計しないと全く意味ナイと思いますけど。

20代の人が回答者だとすると、人生の大半を親の庇護ですごしてきているわけで、親の影響を受けてない人なんてごく少数のはず。一方で、40才を超えてこんなこと言っている人は、単に愚痴ってるだけ、って気がします。

大人になって20年生活して、親の影響で左右される部分が自分の人生を規定していると思うとしたら、それはちょっと悲しいね。


もちろん、普通の家に生まれたちきりんは大財閥にはなれません。でも、長島の子供だって一流の野球選手にはなれません。彼が一流の野球選手になっていたら、親の七光りと言われるんだとしたらかわいそうだと思う。一定期間自分で生活したら、いいわけしてちゃいけません。


最後の質問がまた笑える。「努力が報われる世の中だと思うか」思わない人が半分くらいです。思う人半分。幸福な方ですね。

ちきりんは、社会人になりたての頃にすごく頑張って営業をかけた顧客が、うちではなく競合会社の商品を選んですごーく落ち込んでいる時に上司に言われた「おまえ、もしかして努力したら必ず報われてるとか思ってんじゃないだろうな?」って言葉が忘れられません。あれが、ちきりんの社会人デビューのきっかけになりました。

努力は報われることもあるし報われない時もあります。ただし、非常に高い確率で、「成果を出せば報われる」というように世の中はできています。報われるべきは成果をだした場合であって、努力した場合ではない、ってのが、共産主義と資本主義の違いでは?

努力したら全員報われるとしたら、ちきりんは「必要な時だけ努力」します。適当に遊んでいて、お金がなくなったり欲しい物ができたらちょこっと努力して、そしたら「確実に報われる」んでしょ。準備する必要とか、ずっと頑張る必要なんてないよね。


世論調査って何のためにやっているのか、ってところに戻るわけですが、それが、世の中の価値観や考え方の推移を見るためであるならば、その価値観自体を問わないと意味がないよね。


必要な質問は下記なんじゃないかな。

  1. 貧富の格差が広がることは悪いことですか?
  2. 40−50歳の時点であなたが得た物は、親の経済力や地位のおかげですか?
  3. 努力が必ず報われる世界と成果が必ず報われる世界はどちらが望ましいですか?


せめて様々な価値観を反映して世論調査の質問を作ってほしいです。

ではでは