5.15事件で犬養毅首相が将校に殺されました。
その時、犬養毅氏は「話せばわかる!」と言い、将校は「問答無用!」と言って刺し殺したと。
あまりにもできすぎた話で、実話ではないと言われてるようです。確かにできすぎ。「問答無用」と、「話せばわかる」の対比が。
相変わらず韓国ドラマを楽しんでいるちきりんですが、韓国ドラマでは、主人公達が全然話しません。
話せばわかるのに・・・という状況ばっかりです。
悪役がいていろいろ意地悪する。主人公の男女は全く「話し合わない」ので、誤解が誤解をよび、状況はどんどんこんがらがる。で、主役の二人はすれ違う。
ドラマだから、なんでも“話してわかって何の誤解もなく円満円満”ではお話にならないので、仕方ないのでしょうが。
★★★
現実の世界では、そこまで何も話さないということはないと思うのですが、それでも結構みんな話さないなあ、と思います。
ちきりんは、どっちかといえば「話して解決しよう」という人です。
言葉で解決しようという志向(指向?)が強いと思います。
でもこれは個人差があって、態度とか言葉のトーンとか表情とかで何かを伝えようとする人もいて、時々困ります。「言葉派」のちきりんとしては、どーしてよいかわからないことが多いです。
言葉以外で何かを伝えようとする人は、どーして言葉を使わないのか??と考えてみました。
(1)言葉を使わなくても伝わると思っている。
(2)なんらかの理由で言葉を使いたくない。
(3)言葉を使って伝えたいのだが、スキルの問題でそれができない。
のどれかだと思います。
(1)は大いなる誤解です。
言ってもらわないと全くわかりません。
世の中には、「他人も皆自分と同じように考えるはず」と思っている人がいます。
こういう人たちは、言葉を使わなくても通じると思っています。「ある出来事を自分はこう感じるので、相手もこう感じているはずだ」と思っています。
でも、そんなことありえません。人は皆違います。
一方で、ちきりんは自分が「言葉で伝える人」だから、何も言わない人は「何も感じていないのだろう」と理解します。
でも、そんなこともありえません。何かを感じていても、それを言葉にしない人もたくさんいます。
どちらも大いなる誤解です。そして状況はどんどん混乱します。
(2)は、「逃げ」です。言葉にだすと、極めて明確になります。
何が問題なのか、何が重要なのか、何がどーでもいいことなのか、とても明確になります。それを無意識に嫌がるため、言葉にすることをためらう人がいます。
別の理由の人もいます。
自分の感情をさらすことがイヤだと思う人です。
言葉にして説明すると、自分がどういう人で、何を感じているのか、をさらけ出すことになります。それが恥ずかしいとか、悲しいとか、情けないと思う場合もあるでしょう。
それでも話そうとする人もいるけど、だから話さない、という人もいます。
できれば自分は自分の感情をみせず、また、自分から問題点を指摘することもなく、すなわち、自分が傷つくことを避けながら、なんか突然問題が解決する、ってことがおこらないかな〜と期待する。
そういう表情をして、誰かが「意をくんで」解決してくれることを期待する、待つ。
んなもん、伝わらないってば!
この場合も、問題はこんがらがるのみ、です。
(3)のスキルがたりない場合もあります。
前にかいたように、自分の感じていることを、相手の受動体に感じさせる、というのは結構難しい。
特に感情に関わることでは難しいです。そのスキルがないため、伝えられない人もいます。
でもこれは未来があります。そうやって苦労していれば、誤解や問題を起こしながらも、伝え方は学んでいけます。一時のトラブルを避けなければ、長期的にはなんとかなるでしょう。
★★★
仕事では、「言葉で解決すること」は「義務」だと思います。話さずに解決しようというのは、業務放棄です。
個人関係、友人関係とかにおいては、よりややこしい。
ちきりんは基本的に「言葉で解決する志向」の人としか友達にならないです。お互い気を遣い合って、それでも誤解でめんどーなことになって・・・ってのは、ごめんです。一時的に問題がおこっても、言葉で解決したいと思います。その方がとても楽だし、気持ちが良い。
恋愛は・・・言葉で説明しすぎると「恋愛自体が始まらない」です。ところが、言葉で説明しない関係のままでは「続かない」です。これがなかなか難しいところ。始まるための方法論と続けるための方法論が、全く逆なんですよね。
恋愛のまま結婚してうまくいかない場合にはふたつのパターンがあって、
- 言葉を使わないからこそ始まった恋愛モードのまま結婚し、言葉をつかわないまま関係を継続しようとして破綻。
か、
- 言葉を使わず始まった恋愛から、言葉で関係を築ける状態になったので「この人だ!」と思って結婚した。しかし、(婚姻)契約が終わったとたんに、また言葉を使わない(でもいーだろ)状態に戻って破綻。
のどっちかです。
継続には言葉が必要です。みんな他人なんだから。
★★★
「話せばわかる!」と言って、相手から「問答無用!」と言われると、絶望的な気分になります。
「あいつに話しても無駄」というのは、関係性自体の拒絶です。
ちきりんは「言葉志向」です。
因果関係は不明ですが、言葉で関係性を築くのが「得意」だとも思います。
そうすると、仲良くなるのはいいのですが、トラブル解決には、相手にはプレッシャーになります。
「言葉では勝てない」と思うからです。
夫婦げんかで「手を出す」のは、ほとんどこのパターンです。言葉で勝てないから、(あきらめて)他の、自分が勝てる方法論に訴えるわけです。
他の方法には暴力もあれば無視もある。笑顔もあれば、プレゼントとかもあり得る。でも・・・言葉ほどには何も伝わらない、と思います。
まあ、別の解決方法もあればいいと思いますけど、ちきりんとしては「言葉」ってのは、本当によくできた仕組み(コミニケーションの仕組み)だと思うので、皆が言葉で解決しようよ!となってくれたらいいなあと思います。
言葉で解決しようと言う志向さえあれば、伝わりにくくったっていいと思う。一生懸命、理解しようとつとめます。がんばります。
。。。別に、何かトラブっているわけではありません。
また明日