以前から言っていることだけど、幸せな人生をおくるために何よりも重要なことは、「自分は何が欲しいのか」を明確に理解することだ。
これ、簡単なように思えてけっこう難しい。
世の中には「こうあるべき。こういうのが幸せなはず」的な言説が溢れており、たとえ自分はそうでないという場合でも、いつのまにか流されてしまう人はたくさんいる。
世間には「責任ある仕事を任されるのが幸せ」という人もいれば、「責任のない気軽な仕事だけをしてる方が気楽で幸せ」な人もたくさんいる。
お金はたくさんある方が幸せだと一般には思われているけれど、お金がないから目の前の仕事をとにかく必死でやらざるを得ないという状況のほうが、実は幸せだという人もいる。
つまらないものに大金を使うのが、みんな楽しいとは限らない。
いい会社に勤めるとか、持ち家を手にするとか、そういうのも「ほんとに嬉しい!」人もいるけれど、「そんなのどうでもいい」人もたくさんいるのが現実。
大勢の家族でわいわい暮らすのがハッピーな人もいれば、「ひとりが気楽」な人もいる。
「子供が好きじゃない」と言うと変人扱いされるけど、子供の何がかわいいのかよくわからない、という人は一定数存在してる。
不幸なのは、自分がそんなに好きじゃないモノを、人生をかけて手に入れようと必死になること。
それがお金であれ、仕事であれ、名誉であれ、家族であれ、要らないモノを苦労して追いかけるのは、人生の無駄遣いに他ならない。
そして、そんな中でも特に大きく趣味志向が分かれるとちきりんが思っているのが「働く」ということ。
世の中には「働くこと」が大好きな人がいる。
誤解されがちだけど、これってお金とは関係ない。働くことが大好きな人にとっては、働くこと自体が自分の存在証明だし、生きる意味になっている。
ちきりんは、そういう人を「森光子派」と呼んでいる。
森光子さんは(さすがに周りに止められて今はやめているけれど)、一生引退するつもりはないくらいの覚悟で舞台に立たれていた。
いわゆる「舞台の上で死ねたら本望」系の女優さんだ。
創業者系経営者の人でもこういう人は多い。
60歳でも 70歳でも朝から晩まで働き続ける。一生働き続ける。出張中の飛行機の中で死ねたら本望、という人。
一方、大橋巨泉氏は、まだまだ人気のある段階でみずからテレビを引退し、世界アチコチに買った別荘で遊び暮らす人生を選んだ。
だから、「働くのもいいけど、働かないのも楽しいじゃん」という人を、私は「大橋巨泉派」と呼んでいる。
久しぶりにこの本を読んだけど、「ほーんと、そうだよね」と思った。
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あたしは言うまでもなく、「大橋巨泉派」です。
働く人生も十分に楽しかったけど、人生の全部を「働くこと」で埋めたいとは思わない。「働かない人生」も存分に楽しみたい。
会社勤めをやめて、思いがけず「ちきりん」が忙しくなって、ここ一年くらい取材や執筆や、声をかけられるままにいろいろやってきたけれど、これ以上、頑張ろうとも思わない。
趣味でやるのは何でも楽しいけど、仕事を生活の中心にはしたくない。あたしはもう十分、働いた。
大事なことは、世間体とか常識とか、みんなやってるとか、そういうもんだとか、そういうのを離れて、
「自分が何が欲しいのか」「どんな人生が送りたいのか」、自分のアタマで考え、自分自身で決めること。
ひとさまや世間様に流されるのは、ほんとに不幸なことざんす。