ブラジル最後の日、サンパウロの東洋人街で不思議な体験をしました。
ほとんど偶然のように、私はその食堂に入ったんです。
見てると、なんかたくさんの人が吸い込まれていくから「なんだろう、ここ?」って感じで。
そうしたらそこは、ブラジルによくあるビュッフェスタイルの食堂でした。
私が通っていた小学校の体育館くらいはあるような広さの巨大な食堂。
作りは安普請でプレハブに近いようなつくり。
天井が高くて全体が見渡せるだだ広いその食堂には、昔の大学の学食にあったような安物のテーブルが並んでました。
その数、何十個、いや百を超すかも?
しかも、縦横整列できれいに並んでいる。配置になんの工夫もない。
椅子はビニールがところどころ破れた原色で、パイプ椅子で・・かなりレトロなタイプ。
★★★
ブラジル、サンパウロにはビュッフェスタイルのレストランがたくさんあります。
新市街にも旧市街にもある。キロあたりの値段は店やエリアによって異なるけど、基本は量り売りでお会計をします。
まずは入り口で伝票を受け取る。
ビュッフェに並んで好きなモノを好きなだけお皿に盛る。
最後に重量を量ってもらい、伝票に値段を書いてもらう。
席を適宜決めて食べる。
最後に伝票をレジに持って行って精算、という流れ。
ひとりで旅する人にはとても便利な仕組みでした。
そして、ブラジルのビュッフェにはいろんな料理が混在してるんだよね。
大半のビュッフェで寿司も出るし、イタリアンも多い。
さすが移民の国。様々な国からの移民が持ち込んだ料理が全部でるんです。
ビュッフェがこんなに充実している国はなかなかない。それが“移民の国”を象徴する。
旅の途中いくつかのビュッフェを利用したのだけど、ここはひときわ巨大でした。
そして内装や家具があまりにもみすぼらしかった。
ところが料理の方は反対で、他のビュッフェのどこよりも充実してたんです。
種類も味も“すばらしい!”の一言。
この店、日本に来て欲しい!!と思うほど。
そして、あたしがここを大好きになった最大の理由は、なんと生バンドが入っていたこと!(土日だけらしい)
それも昔の小学校で体育館で文化祭をやる時のような・・・生バンドというより、素人演芸会というか、フォーク少年というか、のど自慢大会つーか、なんつーか、かなり微妙な人たちが生演奏してるわけ。
それを聞きながらご飯を食べる。
ご飯自体はとても美味しいのだけど、その微妙さ、、、文字ではなかなか伝わらないと思うのですが・・・想像してください。
天井の高い、だだっぴろい、プレハブの体育館で、その辺の中学生のロックバンドかなんかを聞きながらビュッフェを食べる風景を。
★★★
しかも、食べている人側もかなりおもしろい。
人種がいろいろ。服装もいろいろ。集団のタイプもいろいろ。
そして食べる態度もいろいろ。
家族パーティ?みたいなグループもある。
おばあちゃん、おじいちゃんから夫婦、孫まで10人くらいで、ビュッフェでとってきたお皿から食べ物を分け合い、わいわい話ながら飲みながら食べている。
一方でむっすりと、もくもくと、一人で食事する老若男女もあり。不機嫌というよりは“近所の食堂で遅い朝食”という感じ。
車いすで来ている人。風船持ってきている子供。
ほとんど裸??(いや、水着??)みたいな人、入れ墨だらけの人・・・
あたしは最初ランチのつもりだったんだけど、途中でビールを買ってきて、生演奏を聴きながら飲み始めた。
これはなんか、違う世界だな、という感じして・・・
これがサンパウロだ、という気がした。
違う世界に来ているよね、私、と。
足でリズムをとりながら、
へたくそな素人の歌を聴きながら、
多国籍料理のビュッフェをつまみに、ビールを飲みました。
体育館で。
こういう瞬間が旅の醍醐味だよね。
実はあたし、この前日に“移民歴史資料館”に行っていて、そこがまたすごい充実した資料館で、いろいろ考えちゃってたわけ。
が、この食堂で、まさにこれこそ大衆食堂だと思うけど、なんか楽しくなっちゃった。
ああ、ブラジルだなあ、と。
ああ、あたし、サンパウロに来てるんだなあ、と。
がなり立てる生演奏の声は、「ほんとに人前で歌うか、それ?」みたいな男の子なのだけど、
それをほぼ無視してご飯食べてる皆さんも含め、こんなところで一人でメシ食ってるあたしも含め、
ああ、おもしろすぎる! と。
ほんとに不思議な異空間だった。
すっかりいい気分になったけど、
以上、ここで私のブラジル旅行エントリも、終わりにしましょう。