先日は Voicy で、私がどういう視点で旅先を選んでいるか、について話しました。
今日は、旅先を選んだあと、どんな感じでスケジュールをたてているか、について書いてみます。
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旅行プランを決めるときに常に意識するのは、「この旅の主菜は何で、副菜はなになの?」というコトです。
主菜とは、その旅のメインの目的。
なにを目的にその旅行に行くのか、
たとえば、「ディズニーランドに行く!」とか「泳ぎに行く!」、「美術館巡りをする!」とか「おいしいお寿司を食べに行く!」などでしょうか。
そして副菜は、それらの主目的の前後や間に楽しむ、サブの活動です。
具体的な内容はこの後、書きますが、まずは、旅の目的をメインとサブ(主菜と副菜)に分ける理由を説明します。
それは、それぞれの企画&準備のレベルやタイミングが大きく異なるからです。
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メインの目的は「必ず達成したいコト」なので、しっかり下調べをします。
そうじゃないと、「○○をしたかったのに、予約がなくて入れなかった!」とか、
「目当てのお店がお休みだった!」
みたいなことが起こります。
メインの目的でこういうコトがおこると、「なんのために旅行に来たんだっけ!?」って話になってしまいます。
だからメインの目的については、ベストシーズンはいつか、その日は営業しているか、予約が必要か、移動にどれくらい時間が必要か、など、事前にしっかり調べます。
ところが!
副菜(サブの目的)までこれをやってしまうと、準備が大変になるだけでなく、旅自体もあまり楽しくなくなってしまいます。
というのも、旅行はいくら予定をたてていてもハプニングが起こるから。
「30分で楽しめると思っていたけど、思いのほか広くて、観るのに1時間以上かかった!」とか、
「事故渋滞に遭遇して、夕食の時間に間に合わない!」
「子供が忘れ物をして、とりにもどったら、乗るはずだった電車を逃した!」
みたいなことって、誰にだって頻繁に起こるはず。
そういうとき、サブの活動までガチガチに事前計画していると、イライラしたり焦ったり、時間にせき立てられる旅になってしまいます。
結果、「久しぶりの旅行だったのに、やたら疲れた。もっとゆったりしたかった・・・」とか、「なんかドタバタした旅行だった」みたいな感想に。
また、旅先で偶然に興味深いモノを見つけても、「時間に余裕がないから、寄り道できない」のでは、ちょっともったい。
だって、そういう「現地で偶然に見つけた面白いモノ!」との遭遇こそが旅の醍醐味なんだから。
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なので私は「メインの目的はしっかり準備!」するけど、
それ以外は直前までオープンにしておき、前日や当日に、状況に応じて決めていくことにしています。
状況とは、現地の天気、その日の疲れ具合、自分や同行者の好み、偶然みつけたモノの魅力度、みたいなこと。
それらを総合的に考えながら「あした、ここ、行ってみようか!?」みたいな、フレキシブルな予定変更が(メインの目的をしっかり達成しつつ)実現できるのが、私にとっての理想的な旅行。
てか、そもそもすべてを同じレベルで事前に調べておこうと思ったら、準備の手間も半端ない。
だから「しっかり準備するのはメインの目的だけ。そこは必ず達成する。でも後は、行った先で考えよう!」くらいのいい加減さがちょうどいいんだよね。
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実例で説明してみましょう。
私は先日、「ベストシーズンの沖縄」でシュノーケルを楽しんできました。
旅の主目的は「青の洞窟をはじめとしたお気に入りのスポットで、思う存分、泳ぐこと!」です。
この主目的に関しては、お天気やらルートやらしっかり調べていったので、100%満足できる旅になりました。
でも、行く前に決めていたのは「今日はどこで泳ぐか」ということだけ。
それらシュノーケルの前後にどこに行くか、どこでご飯を食べるかは、すべて現地に行ってから、しかも前夜や、ときには当日の朝に決めています。
たとえば、嘉手納基地が見える展望塔に登ってみたり、
その近くにあるアメリカン・ヴィレッジを歩いてみたり、
戦跡を巡って掌を合せたり、
琉球村でエイサーを鑑賞してみたり、
これらはすべて、現地に行くまで存在自体よく知らなかったところばかり。
でも、グーグルマップを見ていたら「こんなんあるじゃん!」ということで、ちょっと寄り道してみたんだけど、
そんな旅の副菜が、旅行をとても豊かなものにしてくれるんだよね。
今回、特によかったのが、OISTと呼ばれる沖縄科学技術大学院大学を見学できたこと。
前日に、メインの目的地に近いことがわかり、さらにウェブサイトで「予約なしで見学できるらしい!」とわかって大興奮!
行ってみたら、本当に素敵なキャンパスで、
私も(めっちゃ頭良く生まれ変われたら)「この大学院で研究者になりたい!」って思っちゃいました。
★★★
前に Voicy でも話しましたが、沖縄って実はお天気リスクが高いので、
私としては「高級リゾートなど観光産業」より、「グローバルな教育機関や研修施設が集中するエリア」を目指したほうがいいと思ってるんです。
というのも、日本でいちばん多文化や多様性に寛容なのって、東京以外だと実は沖縄だと思うので。
さらに、ルールに縛られがちな東京とちがって、沖縄のほうが楽観的だし細かいことを気にしないし前向き。
イノベーションにつながる自由な研究とか人材育成に、とっても向いてる土地柄だと思います。
今回の旅のメイン目的はあくまで「海で存分に泳ぐこと!」だったけど、
「たまたま」訪れたOISTだって、もはやサブイベントだったとは思えないくらいインパクトがあって、
こういう、「めっちゃレベルの高い”たまたま”」に出会えるからこそ、旅は楽しい。
そして(だから)私は、旅行がやめられない。
★★★
もうすぐ(普通の人も)夏休み。
みんなにも、「メインの目的についてはしっかり調べて準備!」しつつ、
メイン以外のことについてはあまり細かく決めすぎず、余裕をもって「当日や前日に現地で決めていく、偶然の出会い」を、楽しんでほしい。
そんな余地もないほどガチガチに計画してしまったら、旅は予定をこなすだけの「オペレーション」になってしまう。
それじゃあ、もっとも上手くいった場合でも「100%の旅」しか手に入らない。
「100%以上の旅=期待を大きく超える旅だった!」と思える旅に出会うためには、あちこちで偶然を楽しめる、そんな隙間時間が必要なんだよね。
以上、最近はほとんど「旅ブロガー」と化している、社会派ブロガー、ちきりんからのアドバイスでした。