思考停止

たまたま二つの学校の話題を目にしました。ひとつは、萩国際大学。先月、大学として2番目に民事再生法を申請した大学です。もうひとつは、東京の専門学校で栄養士の学校です。

萩国際大学は、
・1999年に開学です。つまり、創立6年で潰れたということです。99年といえば、既に少子化も超明らかになり、大学の全入時代到来も、それに伴い、大学経営が大変になるぞということも、ごく普通にマスコミで報道されていた時期です。

・学科は、国際情報学科のみです。萩でしょ?萩。萩焼と明治維新の志士たちの萩。国際情報学科?? (注:再建計画の一環として最近は別の学科もできてます。ゴルフ文化学科とか・・・???)

・定員は300名です。が、開学以来一度も定員が埋まったことはありません。今年の新入生は34名です。

・大学で(萩国際大学より前に)初めて潰れたのは、東北のなんちゃらとかいう大学です。中国人を山ほど入学させ、でも、だーれもその街にはいませんでした、という“中国人密入国者幇助大学”です。免許取り消しだか、補助金停止だかになって潰れました。

そういう悪いことしてない大学としては、萩国際大学は倒産第一号です。まあ、萩国際大学の方も、中国人を入れようとしていたみたいですが、東北なんちゃら大学の後、入管が「危ない大学」への中国人の学生ビザを厳密にしたため、うまく集められなかったようです。入学直前に「数十人の中国人の入学予定者のビザがおりないとわかったこともある」とのことです。


取り上げたいもう一つの学校は、東京の専門学校です。
もともとは栄養士を育てる学校で、3つの学科があります。ひとつは伝統の?栄養士科、あとは、
・スポーツ栄養管理科と、
・カフェ経営学科
です。



このセンスの差。この危機感の違い。このスキルの差。

あっもちろん、国民の税金は、萩国際大学の方にはたっぷり投入されてますが、後者にはたいして出てませんよ。なんたって専門学校ですから、国民の血税なんて大量投入しちゃいけないですからね。

萩国際大学の方は、文部(科学)省*1の補助金もでてるし、山口県と萩市からも数十億円の税金がでてます。それは、学校が倒産したので価値はゼロになりました。そりゃーでも、お金出すの、あたりまえですよね。なんたって大学ですもん。

山口県も萩市も、相当の財政難の自治体だと思うし、市民、県民の皆様は大変な思いをして納税されてると思うけど、そりゃー萩市の大学だもん。大事だもん。返ってこなくても、数十億円くらいださなくっちゃね。地域振興って大事ですからね。

もちろん、もちろんこういった自治体が持っているお金の半分から三分の一は、国から地方交付税とかの形でわたっているお金です。すなわち、萩国際大学に出資されたお金の一部は、大都会で高い税金に苦しむサラリーマンの税金ですよ。でも、仕方ないじゃん! 協力しなくちゃ。日本の地方を守るのは大事だもんね〜。そうそう、あたりまえ、あたりまえ。みんな文句言わないようにね!

★★★

山口県にもいくつか大学があります。国立の山口大学が県庁所在地の山口市にあります。定員は千名以下だと思います。萩市は、日本海側です。1999年の段階で、文部省は、この萩国際大学に、大学開設の許認可を行っています。

東京近郊で、デジタルコンテンツクリエーターやプロデューサーを育成する大学が数年前にできました。この大学は開設する時、文部省にやたらといちゃもんを付けられて大変でした。なぜなら、学校法人を規定する法律によれば、大学となるためには、ひろーいグラウンドとかが必要になるからです。でも、東京でそんなひろーいグラウンドなんて確保しろといわれたらもう新設大学なんて作れません。

しかも、デジタルコンテンツ関係のプロを育てようという大学です。デジタルコンテンツは、アニメを始め、日本が国際競争力を持てるかもしれないと期待される唯一のエンターテイメント産業です。バイオ等とならんで、ITの有力産業分野です。

しかも、その専門に「体育」の能力なんてほとんど関係ありません。周囲には、グラウンドを貸し出せる施設も山ほどあります。どーしても体育の授業をやれというなら、借りてできます。でも、文部省は、「大学は自分のグラウンドを所有しなくちゃ行けない。だって法律にそう書いてあるモン」と言って、相当この大学の開設をいじめました。

都心でビジネスマン向けに英語での経営を教える大学を作ろうという動きにも、まったく同じ理由で、文部省は、やたらとチェックをいれていじめています。文部省のおかげで開学が年単位で遅れた大学も多いのです。

その同じ文部省が、1999年に、萩国際大学(定員300人)に開設許可を出しています。


別に驚くことは「全然」ありません。文部省は、学校にかかわる法律を守っているかどうかだけをチェックしている役所ですから。これから日本の産業育成のために、どのような人材育成が必要なのか、どのような教育を日本の国はこれから行っていくべきなのか?そんなことを考えている役所ではありません。法律を守っているかだけをチェックしている組織です。それでいいんです。そういう組織ですから。

その法律が正しいか、時代に即しているかも全く関係ないです。なんたって役所の役目は「法律を守っているところに許認可をする」ということですからね。あたりまえ あたりまえ。余計なことを「自分の頭で」考えたりしてはいけないんです。役所ってのは、思考停止することが重要なんですよ。みんな、文部省を責めないようにね。それが仕事なんですから。彼らは仕事をきちんとやっているんですから。


まあそれだけです。他に何にもいいたいことはありません。


この国の教育は大変です。
ではまた明日


★★★

*1:以下、文部省と書いてます。