驚くほど白く

うちの母は“洗濯の天才”です。たまに実家に帰った時に母に洗ってもらうと、何年も着てる服が新品みたいにみえる。なんなんだ?って感じ。

もちろん母は洗濯屋でもないし、特殊な機械やスキルもありません。普通の全自動洗濯機と乾燥機、それに普通の合成洗剤。それなのに仕上がりが全く違う。私だけではなく、母に洗濯をしてもらったことのある、ほぼ総ての人が驚嘆します。


なんで?


って思いますよね。ちきりんも、何か秘密があるならそれを私も真似しよう、と思いました。で、洗濯する母を一度じっと見ていた。


ら、やっぱ、きれいに仕上がるには、それなりの理由があった。


(1)洗濯頻度・・・母は洗濯物が少なくても毎日洗濯機を回します。ちきりんはドでかい洗濯機を買って、夏でも週 2回、冬は週 1回しか回さない。というか、一回で大量に洗濯するのが効率的だと思っていたんです。

しかーし、あたりまえですが、汚れてから 3日放置された衣類の汚れは、汚れた当日に洗われるより、圧倒的に「とれにくい」ですよね。時間がたてば汚れが定着しちゃうわけです。だから、「すぐ洗う」のが大事。


(2)洗濯量・・・しかも、毎日洗濯するから一回の洗濯量が少ない。大きな洗濯槽で多めの水で洗うことができる。一週間に一回だと洗濯槽めいっぱいで洗うことになるから、布も傷むし再汚染の可能性も高い。


と、ここまででもかなりの差がつきます。


さらに・・

(3)洗濯終了直後に取り出す・・・母は、洗濯が終わる 5分前から、洗濯機の前で“待機”してます。最近の洗濯機って「あと○分で終了」っていう表示がでますよね。母はそれをすごく気にしてて、洗濯が終了したらすぐさま洗濯機のフタを開ける。

ここで 5分放置するだけで、“しわが固定”するんです。「すぐさま干す」ことの意味は(実は)非常に大きい。

ちきりんなんて下手すると 1時間近く洗濯機の中に放置してる。そんなことすると、夏は細菌が繁殖して臭いがでる。冬は水が凍りかけて繊維を破壊する。

とにかく「すぐに干せ」・・・なわけです。



(4)しわ取り乾燥・・・さらに、綿系のもの、シャツなどは乾燥機に 5分かける。そうすると「アイロン効果」で、大半の洋服のしわが消える。これすごいですよ。

実はうちの母はこのことを“経験的に見いだした”んですが、最近の乾燥機ってこの機能のボタンが最初からついてるんです。コントロールパネルに「しわとり」というボタンのある機種がでています。

これって家電会社の方が商品開発に「主婦の声」を取り入れたんだと思う。うちの母以外にもこの効果に気が付いた主婦がいて、その声がメーカーに入って・・・。すごいですよね、日本の家電メーカーは。こんなボタンは欧米の乾燥機にはついていません。


そして、(5)色物には干す際に「糸くず取りブラシ」をかける。これも、すごいです。

白以外の色物、特に黒や原色のものは、これで見違えるほどキレイになります。

洗濯って、タオルや下着など「白の綿系」のものが必ず混じってますよね。それらから出てくる糸くず、ほとんど目に見えないような細かい糸くずが、洗濯中に色物や黒色の服の表面に付着するんです。

このため濃い色の洋服は、洗濯後“くすんで”見えるんです。それがブラシ(エチケットブラシと呼ばれているもの。下記参照)をかけると、いきなり鮮やかな発色が戻ってくる。そーゆーことだったのね!!!って感じです。

それにしても綿のTシャツとかポロシャツとかに“ブラシ”するんですよ。考えたこともなかったです、そんなの。


そして、(6)干す前に、総てを一度ひろげてたたむ。ぐちゃぐちゃのまま干さない。すべてひろげて伸ばして形を整えてから干す。

干すときに形を整えてパンパンって叩く人は多い(ちきりんもです)けど、干す前に全部伸ばすのは、母を見て初めて知りました。


というわけで、専業主婦っていうか洗濯のプロって言うか、本当すごいです。

★★★


余談ですが、「驚くほど白く!!」って宣伝している洗濯用洗剤には、「蛍光増白剤」という白の染料っぽいものが入っています。

つまり「驚くほど白く」とは、「驚くほどきれいに」ではなく、ホントに「白く」なんですよね。


というのも、黒いシャツを洗っても汚れが落ちたかどうかわかりにくいけど、白い洗濯モノは汚れが落ちたかどうか、消費者にも一目でわかる。だから「白モノの汚れをよく落とすことが洗剤開発のベンチマーク」になってるんです。

で、それを突き詰めた彼らが行き着いた結論が「白の染料(的なもの)を混ぜる」という結論なんですが、これにより、白いモノがより白くなるのに加え、白くないものも白くなっちゃうんです。黒系の洋服の多い私にはほんとーに迷惑な話です。(入ってない洗剤もあるので、それを選んで買ってます)


そういえば昔の資生堂の広告には、「ホルモンたっぷり! 美顔クリーム新発売!!」みたいなのまであります。こんなの今なら怖くて使えないよね。

通販で売られてる「塗ったら肌がすぐ白くなる美白クリーム」も怖いよね。ああいう「即効性のある美白クリーム」には漂白剤(的なもの)が入ってるんじゃないか?と疑ってるんで、そんなものを顔に塗りたくありません。


まあ、「飲むだけで痩せるお茶」「食べると痩せるビスケット」など「即効性のあるダイエットサプリ」には下剤や利尿剤が入ってたりするのと同じですね。


「努力不要で、偉大なる成果」と唱うすべてのものには裏がある。偉大なる成果の裏には、やっぱし偉大なる努力があるってことなんです。

ではでは