マンションの間取り

さて、すごい量の韓国ドラマを見ているちきりんなのですが、ドラマを通して社会風俗系のことで学ぶことが多い。今日は、家のレイアウトの話。まずは下の図をご覧ください。

左側が韓国ドラマに出てくる「韓国の昔の家」です。現代では、「ソウル郊外の貧乏な家」という設定でも同じようなレイアウトの家がよく出てきます。つまり、昔風、お金がない、伝統的な古い家、ってのが左側のような作りをしているみたいです。

門を入るとすぐ中庭です。緑にしたところね。中庭といっても庭がデザインされているわけではなく、単なる空き地みたいな感じです。井戸があることが多いです。総ての部屋はこの中庭を囲むように配置されていて、行き来には中庭を靴を履いて動くことが必要です。

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中庭で体操をしていたり、煮炊きをしていたりってこともあります。近所の人が来ても、たいていここで話します。夏は中庭に面した入り口を開け放っていることもあるようです。まあ、屋外リビングみたいなイメージです。

各部屋は、中庭から一段高いところに床があるんで(下はオンドル=床暖房)、一段上がる感じで部屋に入ります。

ん〜、プライバシーは結構保たれるよね。だから下宿人を置いていたり、息子が結婚してもどこかの部屋に住んだりしてます。

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おもしろいのは右側です。こちらは「ソウルの普通のマンション」としてよく登場するレイアウトです。日本のマンションと全く違うのは、玄関を入るとすぐ「リビング」があるってこと。廊下がないんだよね、韓国のマンションって・・・(いや、現実は知りませんよ。あくまでドラマの中にでてくる韓国のマンションには廊下がない。)

これは、日本と比べると「?」ですが、実は欧米も廊下のないマンションはたくさんあります。よほどの大きなマンションでない限り、玄関を開けるとすぐリビングってのが多いです。

これね、日本人的には、うーむだよね。宅配便を受け取るだけでも「リビング丸見え」なところで受け取りたくないよね。でも、韓国では、リビングはあくまで「外」であって、プライバシーの部分はそのリビングの周辺にある「個室」の中にあるべき、って考えみたいです。だから、リビングは外の人にも開放されているイメージ。


この左と右を見ると・・・似てるでしょ?レイアウトが。


昔の家とマンションのレイアウトがやっぱ似てるわけです。

で、じゃあ日本はどうか?と。

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左側は、とりあえず、ちきりんの実家です。昔の日本の家の例として。ん〜、築50年以上だと思う。場所は田舎です。(ホントは母屋側に二階がありますが、それは省略。)

で、右側は日本で圧倒的に多いマンションの間取りを書いてみました。こんなんでしょ、たいてい。

でね、ちきりん実家の母屋のレイアウトと・・・マンション似てるでしょ。玄関があって廊下があって、両脇に部屋、一番奥にリビング、っていう配置です。日本でも、マンションのレイアウトは、昔の日本の家から、その基本構造を引き継いでいると思うわけです。

だから、日本と韓国のマンションのレイアウトは、かなり違う、って結果になっている。

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それとね、この配置の日本と韓国の違いはなかなかに奥深い。まず、リビングの配置が正反対です。玄関から最も遠いところにリビングを配置する日本と、玄関ドア開けたらすぐリビングの韓国。

リビングというものの持つ意味が違うって気がする。もしくは、「家族とご近所」の「距離感」が違うんだろうと思う。

韓国では「リビングはパブリックスペース」で、家族や家族以外の人(客人)が集う場所、っていう扱いだ。でも、日本では「家族(だけ)がくつろぐ場所」だよね。いわば「インナースペース」だと。

そして、個室は、韓国では「個人のプライベート・スペース」だけど、日本では「寝るだけ」の場所だし、往々にして「共用目的」でも使われる。

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これは「家族メンバー間の関係」もかなり違うってことだと思う。日本は玄関や廊下があって、「外部から内部が見えないように」というレイアウトでありながら、内部の部屋同士は「直接つながってる」場合も多い。

韓国のレイアウトだと、個々人の居室は、かなり独立している。家族同士といえども、パブリックスペースである居間を通して(のみ)向かい合うことになる。話がしたければ居間に呼び出すのよね、他の家族を。

日本だと「両親の部屋」というより「リビング脇の和室」だし、「子供部屋」というより「家族の物置部屋」だったりする、「個人居室と言いつつ、実は家族共用スペース」って感じ。


この辺り、なかなかにおもしろい。

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もうひとつ。日本のマンションと韓国のマンションを比べてみてください。日本のマンションって、この位置に「ベランダ」が付いていることが非常に多いでしょ。これは、日本の昔の家の構造と同じです。「部屋の外側に庭がある」んです。

でも韓国のマンションだと・・・リビングは「内部」だからリビングにベランダは付かない。そもそもドラマで韓国のマンションのベランダって見たことないです。これは・・・昔の家のレイアウトを見ると非常に納得できます。庭は「内部」にあるわけ、部屋の外周ではなく。

マンションでは、内庭が内リビングに変化したってこと。んで、部屋の外側にはベランダはない。



いや、あくまで・・・ドラマの話です。なんせ、韓国は行ったことはあるけど、個人のマンションの中なんて見たことないんで。



こうなると次に知りたいのは、中国の伝統的な家のレイアウトと上海の最新マンションの間取りですよね。次回、中国に行く機会があれば是非見てみよう。

どうやってマンションの間取りを調べるのか?って?簡単です。街の不動産屋さんに行けばたくさんパンフレットがおいてあるです。でも、中国はメインランド、台湾、香港などでもかなり違いそう。それもなかなかおもしろいかも。


そんではね〜